俥の字

『明治の話題』(amazon)の「人力車」という項目を眺めていたら、こんな記述にぶつかった。

人扁に車と書いて人力車の意味になる字は、紅葉山人の発明と称せられるが、本人が後藤宙外(ちゅうがい)に話したところでは、上海発行の「滬報(こほう)」にこの字を使ってあるのを見て、それを輸入したまでださうである。

 へえ。その字、国字だとか言ってなかったっけと、ちょっと驚いたのでついでにウィキペディアの「人力車」の項目も覗いてみた。
ja.wikipedia.org

人力車に関する車の文字はすべて俥とも表記した。俥の字は本来は中国象棋の駒の名称に使われるだけの漢字であったが、明治以降の日本において中国にそのような漢字があることに気付かずに、人力車を表すために作られた国字の一種である(中国にもともとあった漢字の字体に暗合したものであるので、正確には国字ではない。)。そのため「俥」(くるま)一文字だけで人力車を表している。

 ちゃんと国字ではないって書いてあった。


明治の話題 (ちくま学芸文庫)