事実と異なるなら、えらい目に遭わされそうじゃない?

ただの雑感ですよ。
こんなことが話題になってますね。
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 本州と九州を新たに結ぶ「下関北九州道路」(下北道路)の事業化調査をめぐり、国土交通副大臣塚田一郎氏は、安倍晋三首相と麻生太郎副総理の地元事業と紹介した上で、「国直轄の調査に引き上げた。私が忖度(そんたく)した」と語った。北九州市で1日にあった福岡県知事選の自民党推薦候補の集会で語った。塚田氏は2日、発言を撤回し、謝罪した。

 塚田氏は自民参院議員(新潟選挙区)で麻生派。所管官庁の副大臣が政権中枢に配慮し、その地元へ利益誘導をしたと認める発言で、国会などで批判が出そうだ。
(中略)
塚田一郎・国土交通副大臣自民党参院議員)が2日、福岡県政記者クラブに文書で送ったコメントの要旨は次の通り。

 1日に行われた自民推薦候補の応援演説で、「総理とか副総理が言えないので、私が忖度(そんたく)した」「これは総理と副総理の地元の事業だよと言われた」「私は物わかりがいい。すぐ忖度する。分かりましたと応じた」と発言しましたが、一連の発言は事実と異なるため撤回し、謝罪申し上げます。

国交副大臣、「安倍首相と麻生氏を忖度」発言を謝罪:朝日新聞デジタル

 あきれてものが言えないような発言ですが、文脈切り取りなんて思っちゃう人がいるかもしれませんので、がっちり写していたNHKの記事から該当部分を引用してみましょう。

「11年前に凍結された。
コンクリートから人という、とんでもない内閣があった。
安倍総理大臣は悪夢のようだと言ったが、まさにそのとおりだ。
公共事業はやらないという民主党政権ができて、こういう事業は全部凍結してしまった」

「皆さんよく考えてください。
下関は誰の地盤か。安倍晋三総理大臣だ。
安倍晋三総理大臣から麻生副総理の地元への、道路の事業が止まっているわけだ。
吉田参議院幹事長と大家敏志参議院議員副大臣室に来て、『何とかしてもらいたい』と言われた。
動かしてくれということだ。
吉田氏が私の顔を見て、『塚田、分かっているな。これは安倍総理大臣の地元と、麻生副総理の地元の事業なんだ。俺が、何で来たと思うか』と言った。
私はすごくものわかりがいい。
すぐそんたくする」

「総理大臣とか副総理がそんなことは言えない。
森友学園などでいろいろ言われているが、そんなことは実際ない。
でも私はそんたくする。
それで、この事業を再スタートするためには、いったん国で調査を引き取らせてもらうことになり、今回の予算で国直轄の調査計画に引き上げた」

塚田国交副大臣「そんたく」発言の詳細 | NHKニュース

 はい。で、これについて「一連の発言は事実と異なるため撤回し、謝罪申し上げます」とコメントしたそうで、応援演説で大嘘ぶっこきましたってのも有権者をなんだと思ってるのって話になるわけですが、個人的には、「事実と異なる」ってのが嘘なんだろうと思われてなりません(計画の凍結は福田政権下だったので、その点については事実と異なるとはいえ)。根拠はこの記事。

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安倍晋三首相は衆院内閣委で、塚田国交副大臣の発言について「発言は問題だが、本人がしっかり説明し、このことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたい」と述べ、罷免を否定した。

首相、塚田氏の罷免を否定(共同通信) - Yahoo!ニュース

 現内閣は辞任ドミノを恐れているのか、国民をとことん馬鹿にしてるのかはわかりませんが、基本罷免を避けるという戦略を取っているので、これだけじゃ問題が起きたときに内閣が何も動かないいつもの無能ぶりを示しているだけで、コメントが事実と異なることの根拠にはならないとか鋭いことを考えちゃう人もいそうですが、石破派の扱いを思い出してほしいわけです。自分の不利益になるような動きがあったときの、総理の決断力と行動力とその徹底ぶりは日頃の滑舌の悪さ、頭の悪さが嘘のようなスピード感を持ちます。それが今回、総理・副総理ともどもありもしない意向を吹聴されてそれが報じられてしまったわけで、普段の総理であれば、こりゃもう自民党にいられないレベルの嫌がらせに走るのは確実ですよ。どころか、適当な嫌疑リークして牢屋から出さないくらいのことはやりかねない。ところが、上のように、「泥はてめえでかぶれよ。今回助けてやったことは絶対忘れるんじゃねえぞ。今後も汚い仕事は任せたからな」と読めなくもないコメントひとつで罷免を拒否しているわけです。今までの総理のあれこれを考えれば、「事実と異なる」って説明のほうが事実と異なってると思わなきゃ、記憶力に問題ありでしょう。総理自身は記憶力その他に問題があるのでこれで幕引きできると信じていらっしゃるのでしょうが。

追記:幕引きできなかったので蜥蜴の尻尾切りが発動しました。
headlines.yahoo.co.jp

塚田一郎国土交通副大臣(55)=参院新潟選挙区=は5日、道路整備を巡り「安倍晋三首相や麻生太郎副総理(兼財務相)が言えないので、私が忖度した」と発言した問題の責任を取って辞表を提出した。国交省で記者団に明らかにした。事実上の更迭で、統一地方選衆院大阪12区、沖縄3区補欠選挙への影響を抑えるための判断とみられる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190405-00000044-kyodonews-pol

 罷免する気はないと言って一日で前言撤回できないから辞表出させた(「議員辞職まではしなくていいから、しばらく大人しくしておれ」みたいに因果を含めたんでしょうね)のを、「事実上の更迭」って一周まわって総理の英断っぽい単語で伝える共同通信なんなの? って感じはしますが、自分に不利益がありそうな奴を切るのが早い総理の行動基準は一貫しています。上で書いたように、ほんとに事実と異なる発言だったなら、発覚時点で罷免していたはずなので、こりゃやっぱり事実と異なるが事実と異なってるんだろうなと改めて。
 なお、塚田氏の言い訳のなかには「嘘という認識はないが、事実と異なる発言だった」という意味不明なものも出ていました。
tr.twipple.jp
 まあ、資質考えれば辞めて当然なわけですが、更迭までに時間の空いたことからわかるのは総理がこの話を知った時点では「そんなの大したことじゃないし、誰も気にしやしないよ、うっせーな」と思っていたということです。一時期しきりに「膿を出し切る」とイキッていた総理ですが、自分自身が患部であることがわからないどころか、たぶん何が膿なのかすらわかっていません。