スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ3 『ジュリア』と『スキャンダル』あるいは「キラキラ」と「チャラチャラ」


チェッカーズの音楽とその時代
の読書メモ第3回。
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さてさて、今日はジュリアに傷心から。

シングル売上枚数だけで言えば、この曲こそがチェッカーズのピークである。また1984年の暮れに発売されながら、翌1985年を席巻し、その年の年間ランキングの1位に輝く。

 ってことで、文句なしの名曲と個人的には思っているのだけど、前曲を上げて解説曲を落とすがパターンのスージーさん、今回はどうか。

ここではヤンキー性も見事に復活。「東京のビジネス性」と「久留米のヤンキー性」が両立している。

 褒めてた。そして「チェッカーズリズムセクション=ドラムスとベースのバンドだと思う」と言い、「特にこの曲では、そのリズムセクションが映えている。イントロ冒頭のドラムスの連打と、曲中を跳ねて駆け回るベースの『日本全国の小中高の女の子の胸をかきむしらせる感じ』はどうだろう。ぜひ改めて、注目して聴いていただきたいものだ」

 で、歌詞のパンチラインとして注目しているのが「♪俺たち都会で大事な何かを失くしちまったね」と「夢の他に何もない部屋」の二つを挙げている。確かに確かにと思った。わたくしも幼いみぎり、「俺たち都会で~」はなんとなく口ずさんでいましたよ。住んでたの、どっちかって言えば田舎だったけど。記憶だと売上82万枚って言っていた気がするんだけど、本書のデータは70万枚。色んなカウントがあるようだ。でもって、ここが売上的にピークというのも実感としてわかる。ここまでの五曲は全部流行り歌として、その辺の子が口ずさんでいるのを聞いたのだけど、これ以後、チェッカーズの曲は当時のおれの耳に入るところ(つまり芸能人とか歌番組に興味のない小学生)までヒットしなくなった。85年のあいだに社会現象としてのチェッカーズは終わったんじゃないかなあ。いや、こんな条件の小学生がデビュー曲から五曲目まで全部知ってたってのが驚きなんだけどね。実際、のちに二枚組のベスト(これ)を買って再生したら、次から次へと聞いた覚えのある曲かかって「げ、これも、これもチェッカーズなのか?」って腰を抜かしたし。最初の売れ方が尋常じゃなかったんだと思う。何があったんだろうね。

 ついでに思い出したんだけども、チェッカーズという単語と遭遇したのはたぶんこのあたり、あれやこれやの歌を歌っている人たちという認識はなく、何者かも知らなかったが名前だけ。どっから入ってきたかと言えば、週刊少年ジャンプ。『ハイスクール奇面組』という漫画があって、そこにたしかシブがき隊がチラっと出て(テレビ画面のなかか何かで)、でその場面にチェッカーズの名前があったような気がする。もしかすると絵もあったかもしれない。

 それはさておき、スージーさん的には、85年が「日本全国のチェッカーズへ」化けた年という見え方だったらしい。そして『あの娘とスキャンダル』の感想は

この曲を初めて聴いたとき、「向こう側に行ってしまったな」という感じがしたものだ。

 繰り返して悪いけど、むっちゃ好きだよね、チェッカーズ。で、あの娘とスキャンダルは「何となく軽薄だし、何よりも『久留米のヤンキー性』が(また)封印されている」と不満げだ。

《ジュリアに傷心》がキラキラしているとすれば、こちらはチャラチャラしている

もろもろまとめれば、「作品」というより「商品」としてとても優秀な曲という結論になる。

 あー、チャラチャラしてるってのはわかるかも。軽快で楽しい曲だけど。この曲は解散したあと7×10見て初めて聴いた。ライブ映像からだったので、そのあと音源聴いたときに違和感あったなあ。テンポとか違ったような気がする(最近はずっと音源だけなので、すっかり馴れている)フミヤがソロになってからの2000年~2001年カウントダウンの演奏が個人的には好き。すっげえ楽しそうで。「タヌキだっていいじゃない!」は映画のフレーズで、一回挑戦したものの、あまりにもあまりな感じでまったく合わず、フミヤがどっかにさらわれたあたりで再生やめちゃったんだよなあ、そういえば。最後どうなるんだろ、あれ。

追記:読書メモ完結。全十三回。以下目次

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スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ3 『ジュリア』と『スキャンダル』あるいは「キラキラ」と「チャラチャラ」 - U´Å`U
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