麻野一哉 飯田和敏 米光一成『ベストセラー本ゲーム化会議』 

ベストセラー本ゲーム化会議
麻野 一哉 米光 一成 飯田 和敏

4562035560
原書房 2002-10
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by G-Toolsisbn:4562035560
 有名な本。今頃読了*1。笑わされた。

 内容はタイトル通り、ベストセラー本をゲームにしてしまおうと、ゲーム作家が集まってブレインストーミングをしてる様子が活字になっている。

 ゲームもさっぱり無知なので、集まっている人が「弟切草」の作者や「アクアノートの休日」の作者や「ぷよぷよ」の作者であることも知らなかった。みんな名前に「かず」が付いているのは、人選時に狙いでもあったのだろうか。まあそんなことはどうでも良いけど。

 取り上げられたタイトルは
「世界がもし100人の村だったら」
「愛のひだりがわ」
冷静と情熱のあいだ
煙か土か食い物
チーズはどこへ消えた?」「バターはどこへ溶けた?」
模倣犯
あらしのよるに
「白い犬とワルツを」
「虹」
「新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論2」
「PLATONIC SEX」
「新『親孝行』術」
「あらゆる場所に花束が……」
「痛快! 憲法学」
「FOCUS」
バトル・ロワイアル
の十七作品。「世界は〜」は妹ゲームになって、「冷静と〜」はゲームウォッチになって、「戦争論2」はシューティングになって、「痛快! 憲法学」は恋愛シミュレーションになってと、化かし方も面白いのだけれども、「虹」が記憶改変の物語だとか、「冷静〜」のBluが「いつだって」小説で、Rossoが「たっぷり」小説だとか、っていう指摘も楽しかった。

 与えられた情報(ベストセラー本)からどれくらい遠いところで作品(ゲーム)を成立させることができるか、というのが一応テーマとしてあるんじゃないかと思うのだけれど、転がしていくときのドライブ感がたまらなくて、どの章でも必ず笑ってしまうほど。笑えるという基準だけで比較するなら、自分には「文学賞メッタ斬り」よりこっちの方が面白かった。方向性は違うけど。

 この本の主旨からはまったく外れるけれども、この奔放なアイディア群が、実作に当たって、どんな風にあれこれの制約と折り合いをつけていくのかというところも読んでみたい気がする。いやこれだけで十分面白いんですけどね。

 なお続編めいた企画がエキサイトブックスで行われていて、こちらも大変楽しい。

*1:日付不明