久生十蘭『魔都』

魔都―久生十蘭コレクション (朝日文芸文庫)
久生 十蘭

4022640634
朝日新聞社 1995-02
売り上げランキング : 700830

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by G-ToolsISBN:4022640634
「魔都」(1937)を読んだ。

1934年大晦日、深夜の帝都・東京。滞日中の安南国皇帝が失踪し、その愛人が墜落死。警視庁切っての名警視が真相究明に乗り出したが、デマ・誤報・密告が錯綜し、元旦の首都は大混乱に陥る。秘宝「帝王」の行方と、動機不明の連続殺人事件の謎―すべての探偵小説を超えたスーパー都市迷宮小説。

 こんな内容。最初の視点人物古市加十が猫吊しに吊しあげられるところで、なぜか頭の中の絵が手塚漫画になってしまい、あとは漫画チックな場面創造をしていたのだけれど、割と相性が良かった。殺人事件こそあるものの、これが探偵小説なのかは疑問。誰がやったのか、とかどうやったのか、とかじゃなくて、前半は何が起ころうとしてるのかを語っていて、そのどうなるか分からない感がたまらず、もうわくわくしっぱなし。最後の方はイマイチだけど、前半だけで読む価値は十分あるんじゃないかと思う。しょっちゅう出てきてはコメントを残して消えていく作者も良い。

追記:2015/03/13
キンドルの無料本になっていた。HTML版はhttp://www.aozora.gr.jp/cards/001224/files/46076_49499.html
魔都
久生 十蘭

B00SB0YA20
2015-01-10
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