「殺人者が日本海を行く」

殺人者が日本海を行く (徳間文庫)
辻 真先

4195684943
徳間書店 1988-04
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by G-Toolsisbn:4195684943
「殺人者が日本海を行く」を読んだ。トラベルライター瓜生慎シリーズ第五弾。前作で結婚の許可が出て、真由子は晴れて瓜生を名乗る。トクマノベルスが親本なのだが、文庫オリジナルの付録として、ふたりのささやかな新婚旅行中に起きた事件を描いた「お座敷列車殺人号*1」が併録されている。ふざけたタイトルの割に、苦い後味の短編。だが、本編の方はもっと救いのない誘拐&殺人ストーリーで、ラストに真由子が叫ぶ心内文だけが救いみたいな感じ。「ローカル線に紅い血が散る」「火の国死の国殺しを歌う」は、動機と事件の全容が明らかになったところで胸を打たれたのだが、本作はただただ後味が悪いだけに止まった。ケチ村氏は存在感のある良いキャラクターだと思ったけども。

*1:初出は「問題小説」昭和58年1月号