『旅は道づれ死体づれ』

旅は道づれ死体づれ (C・novels)
辻 真先

4125000530
中央公論社 1984-10
売り上げランキング : 1752421

Amazonで詳しく見る
by G-ToolsISBN:4125000530
 ユーカリおばさんシリーズ第一弾*1。84年当時、井上ひさしの「吉里吉里人」のヒットをきっかけにしたミニ独立国ブームというものがあった*2のだが、ユーカリおばさんはそうしたミニ独立国に起きる事件を解いて回る名探偵らしい*3
 で、その第一弾が本作。舞台は会津若松市から一時間ほどの会津森山蕃。亀谷ユーカリの孫娘、綾川くるみの恋人、三津木新哉が旅館の劇の演出を手がけるというのをきっかけに、おばさんと孫がでかけていくと、待ち受けていたのは案の定殺人事件。温泉町で起こる連続殺人をユーカリおばさんは解決できるのか?
 みたいな話で、途中まではダルダル。ですます調の地の文が妙にかったるいし、あれこれな人間関係もかったるく、テレビの二時間ドラマみたいな話だと思って読んでいたのだが、ラストでそのレベルから抜け出してくれる。出てくる場面を無駄なく回収しているし、期待をしぼませ続けていたら、最後に縮んだ期待の上はいかれたみたいな感じ。ズバ抜けて面白いわけではないけれど、それなり。
 ところでエリマキトカゲはこの頃ブームだったんですね。

*1:中央公論版では。その前に集英社で何作が発表されているらしいが、確認できていない。「大衆文芸」誌に載った「ユーカリさん 孤独の人」という作品で、82年に第13回池内詳三文学奨励賞を受賞しているらしいので、その作品がシリーズ第一弾なのかもしれない。

*2:参照:http://www.d1.dion.ne.jp/~k_nozaki/minidokuritukoku.htm

*3:シリーズ作品のタイトルから推測しているので、今後訂正するかも知れない