「佳人」

普賢・佳人 (講談社文芸文庫)
石川 淳 立石 伯

4061963201
講談社 1995-04-28
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by G-Toolsisbn:4061963201
「佳人」を読んだ。石川淳のデビュー作。世界の臍を捜していた男が探索に失敗し、死のうとするがそれも失敗し、同棲相手の浮気を知り、うわーんてなる。筋書きを見ればこれに近い話なのだが、実際には物語を書くことの不可能性を語っている。老婆の話を書くはずだったのに、全然違う話になってて、しかもせっかく書き出しちゃったからこのまま書いてみるけれど、やっぱり無理だった、というのが同時進行で進む、むしろメインと言っていい筋。これを矮小化すると「アメリカの夜」になるような気もするけれど、あまり似ていない。変な小説だった。デビュー作のはずなのに、驚くほど偉そうだし。その次に収録されている「貧窮問答」で食い逃げのことを「ラジオ」と呼んでいたことを知る。無銭と無線をかけたダジャレらしい。

追記2013/12/10
キンドル版が出ていた。確認時の価格は840円。
普賢 佳人 (講談社文芸文庫)
石川淳

B00GYTHTQ4
講談社 1995-05-10
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