『迷犬ルパンの挑戦』

迷犬ルパンの挑戦 (光文社文庫)
辻 真先

4334711413
光文社 1990-05
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by G-Toolsisbn:4334711413
 迷犬ルパンシリーズ第6弾。あらすじはこんな。

警視庁捜査一課のドジ刑事・朝日正義とGFの川澄ラン、迷犬ルパンら一行は、今回はカーフェリーで南九州観光とシャレこんだ。朝日の従姉妹の結婚式に招待されたのだ。しかし、船旅を楽しむ暇もなく、シージャックに遭遇。ランの機転とルパンの実力で犯人は取り押えたが…。次々起こる怪事件。珍コンビの迷推理!

 冒頭に当時話題になり出したのか、ゴンドラやドライアイスを使った結婚式が描写されている。今じゃ珍しくもないが、当時は松本伊代が現役のアイドル*1。案外あれにも歴史があるのだなあと感心。それとこの頃までに、現在見慣れたニュース報道の仕方が確立されたらしい。

現在キイ局の報道番組は、ハード面でも大きく改善されていて、たとえばアナウンサーは、机上の原稿に目を落とすことなく、いつもカメラに正対してしゃべることができる。そのために開発された特殊なハーフミラーが、アナウンサーとテレビカメラの間に据えられ、その鏡にニュース原稿が映されているのだ。

 全く知らなかったので、今度ニュース番組を見るときに確認してみようと思う。意外と廃止されていたりして。ニュースキャスター、どこ見てしゃべってたっけなあ。
 シージャックの他、会社社長の密室殺人やら、その後の派閥争いやら、朝日の従姉妹野上峯子と岩淵益雄の結婚やら、コピーライターふたりと事務員を巡る三角関係やら盛りだくさん。風物は上の結婚式以外にも、前年運行を開始したばかりのカートレインや前年成立の男女雇用機会均等法ロス疑惑日航機墜落事故、瞬間接着剤への言及が当時を思い出させてくれた。
 残念なのは最後がちょっと駆け足になったところ。途中まではかなり面白く読んだが、いかんせん文庫版で300ページという厚さですべてをやりつくすのは無理があったように思う。ただ最後までワクワクさせてもらったので、まあいいや。うん、面白かった。

2013/06/13追記 キンドル版が出ていた。確認時の価格は630円。

迷犬ルパンの挑戦 (光文社文庫)
辻 真先

B009KZ5PWO
光文社 2006-01-12
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*1:作中でちらっと名前が出てるからたぶん現役