鈴木貞美『新潮日本文学アルバム65 石川淳』

石川淳 (新潮日本文学アルバム)
鈴木 貞美

4106206692
新潮社 1995-02
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 鈴木貞美は日本文学史の書き換えを唱えている学者で、西洋思想の受容に儒教道徳が一役買ったとか、1920年モダニズムの再評価とかを興味深く論じた著作がある。
 その鈴木が石川淳を論じている本があるのを知ったのはアマゾンのおすすめリストで、こりゃ読むべしと注文してみたのだが、到着した箱を開けてみたら出てきたのは「新潮日本文学アルバム65 石川淳」。うわ、評論じゃなかったとしおしおしながら読む100ページちょっとだからすぐ読める。写真がいっぱいだからすぐ読める。詰まらないわけじゃないのだが、求めていたものとはかけ離れていた。タイトルに文学アルバムであることを明記して欲しいよアマゾン。
 それはそうと面白かったのは夫婦で写っている写真がほぼすべて夫妻が別の方向へ視線をさまよわせているところ。カメラマンはいったいどういう指示をしていたのか。それとも婦人がいつも左斜めを見ているのは、私はこの角度が一番写りが良いのみたいなこだわりを持っていたのか。非常に不思議な味わいを醸し出していた。
 まあそれなりに楽しかったからよしとしよう。考えてみれば作家評論で1200円の110ページなんてありそうにないんだから気づくべきだった。