エラリー・クイーン井上勇訳『エラリー・クイーンの新冒険』

エラリー・クイーンの新冒険 (創元推理文庫)
エラリー・クイーン 井上 勇

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東京創元社 1961-07
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「神の灯」「宝捜しの冒険」「がらんどう竜の冒険」「暗黒の家の冒険」「血をふく肖像画の冒険」「人間が犬をかむ」「大穴」「正気にかえる」「トロイヤの馬」を収録した短編集。「神の灯」はすげえよ的な話を『エラリー・クイーン論(amazon)』で読み、購入。先に面白がり方を教わっていたせいか、「神の灯」は確かに面白く感じた記憶がある。その後、「人間が犬をかむ」まで読んで力尽き、数年放置。理由は訳文が合わなかったことだと思われる。あと短篇三本だからと再チャレンジしてみたところ、ほんとうに辛くて、これをスラスラ読める人は天才かってな感じだった。ええと、そうやって読んだ三本のうちではボクシングの世界タイトルマッチ後に起きた殺人事件を扱った「正気にかえる」が割と好み。「トロイヤの馬」も最後の犯人を限定するやり方は面白かった。国名シリーズなんて二社で新訳が進んでいるんだし、この短編集も新訳にならんかねえ。井上勇の訳文は慣れてくると味がわかるんだけど、久方ぶりに触れるとなかなか厳しいということがわかった。あくまでも個人的な相性だけど。
 話は違うが上にリンク張った『エラリー・クイーン論』はとても面白く、おれなどはこれを読んで初めてクイーンの見所がわかった気がしたし、そのうえクイーンを読みたくなるという効果まであった。むしろこっちがお勧め。(ただし、結構ネタが割られるので、それでも平気な人に限るけど)