ナボコフ 貝澤哉訳『絶望』

絶望 (光文社古典新訳文庫)
ウラジーミル ナボコフ 貝澤 哉

4334752799
光文社 2013-10-08
売り上げランキング : 271294

Amazonで詳しく見る
by G-Toolsasin:4334752799
 大学のときにいくつ授業を取ったのか、しかとは覚えていないのだけども、なんとなく記憶に残っているものに、ロシア文学基礎講義(だったかなあ)という半期のものがあって、何をしたかと言うと、ビデオで『僕の村は戦場だった』を見た。担当の先生は口が大きく、歯も大きく、眼鏡をかけていて髪がサラサラな若めの方でタルコフスキーの水のモチーフなどを指摘しつつ授業は進んだ。別にどうということもなかったのだけども、その解説だか合いの手だかがなかったら、こんな映画、絶対面白いと思わなかっただろうなと、当時思った記憶が残っているのは、その合いの手のせいで『僕の村は戦場だった』が面白く感じられたからだった。
 で、その先生のお名前が訳者のとこにあったから、買ってみたよ。ナボコフがロシア語で書いていた時期の一作。
 モチーフは保険金殺人で、犯人の一人称で話は進む。解説でとんでもないネタバレしてるから、先を楽しみたい人は読まぬが吉だけど、先に読むと、仕掛けがわかって楽しみ1・5倍。上で書いた授業のことを思い出した。おれは解説なかったら吃驚できず楽しめずだったかもしれない。
 訳文も中盤の延々とひとつの段落が続いていくところとか、結構愉しく読める文になってて、とてもよかった。

追記2015/04/24 キンドル版が出ていた。確認時の価格は1058円。
絶望 (光文社古典新訳文庫)
ナボコフ 貝澤 哉

B00VWP0RG4
光文社 2013-10-20
売り上げランキング : 49637

Amazonで詳しく見る
by G-Tools