『げんだいミステリーワールド11 辻真先集』

げんだいミステリーワールド (大きな活字で読みやすい本)
中島河太郎

4897847125
リブリオ出版 1999-04
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by G-Toolsasin:4897847125
 大きな活字で編まれた現代推理小説全集(なのか?)の一冊。収録されているのは「ユーカリさん 孤独な人*1」「上役を静かにさせる法」「三幕の喜劇」「村でいちばんの首吊りの木」。解説は中島河太郎なんだけど、作品の初出を載せていない。で調べてみた*2ところ、「ユーカリさん 孤独な人」は「大衆文芸」(1982.06)、「上役を静かにさせる法」は小説新潮(1982.12)、三幕の喜劇は「小説推理」(1984.7)「村でいちばんの首吊りの木」は小説推理(1979.7)。
 このバージョン以外だと「ユーカリさん 孤独な人」は「戦慄のプログラム 日本ベストミステリー選集13」(amazon)で、「上役を静かにさせる法」は「推理小説代表作選集 1983」(amazon)で、「三幕の喜劇」は「最新傑作ミステリー〈中〉犯罪の葬送曲」(amazon)で、「村でいちばんの首吊りの木」は「推理小説代表作選集 1980」(amazon)で、それぞれ読める。
ユーカリさん 孤独な人」は、ユーカリおばさん初登場とあって、特に新哉のキャラがまだハッキリしていない。ユーカリの夫も戦死したと説明されている。「死ぬほど愛した…」(感想)ではここが栄養失調で死んだことに変更されている。
「上役を静かにさせる法」は、利根留美夫というサラリーマンが事件に巻き込まれ、「蟻巣」で近江由布子と中込の夫婦が解決する話。
「三幕の喜劇」は皮肉な空回りがいくつも起こる話で、この本の中では一番辻真先的かもしれない。
「村でいちばんの首吊りの木」は過日感想を書いたので割愛。
 ひとまず「ユーカリさん 孤独な人」が読めて良かった。

*1:池内祥三文学奨励賞

*2:ケンジの推理小説図書館のデータを参照させてもらった。