清龍友之会『清流第四号』

 12日だったと思うが、よく分からない流れでいつの間にやら秋葉原文学フリマ会場にいた。といっても着いた時点で終了するようなタイミング。せっかくだからjamano氏にでも挨拶をと思ったら、風邪で倒れているところで、会うことができなかった。残念。
 で、そこに出店していた大学の後輩たちの作った同人誌を買ってみる。それが本書。本書というのに抵抗を覚えないほどキッチリとした装丁にできあがっていて、そこに感心した。
 以下収録作品の感想など。思いついたものだけ。
「序」いらねんじゃね?
「新・空中の足跡」(古泥 禮介)
 伏線をきっちり張ろうとしているところは好感。漢字多めの文章で書かれているのに、ところどころ理由なく仮名に開かれる部分があるのが気になった。真相より、ピエロ役の推理が当たっている方が、インパクトがあったと思う。
「犬の秘密」(笛吹 太郎)
 一行目が良い感じに効いている。いくつか楽しいフレーズにぶつかれたのが良かった。本人はジョン・レノンのつもりだが、精精が高橋源一郎ってとこは笑った。
「質量保存の法則とシュレディンガーの俺」(吉野 俊)
 人間の尊厳=クソの式は馬鹿馬鹿しくて良かったけれども、ラストは勿体ぶらずしっかり書いた方が前半の思わせぶりな議論とオチのギャップが強調できたと思う。
「観察者」(相馬 渚)
 視点の意識が薄くて読みにくい。サイコサスペンスをやろうとしているのは分かるが、自分には敷居が高すぎて物語に入れなかった。
「フォーチュン☆ストロベリー」(伊和見 高司)
 遊び心タップリで楽しめた。ラストが弱い気もしたけれど、ある意味どこで終わってもいい話なので、問題ないかと。個人的には一番気に入った。
「幽霊のネガ」(笛吹 太郎)
 ラストに提示される図はなかなか驚きなのに、中盤の演出が弱いのでインパクトに欠けたのが惜しい。
サイクロップスの墜落」(端江田 杖)
 ガンダムでミステリーをしようというアイディアは面白い。シチュエーションも良い。が、長さの割りに淡泊な印象を受けた。ケレンが足りない。でもラストの方であの人が出てきたのにはやられた。
「優しい銅貨」(原木 香太郎)
 推理の展開は面白いんだけど、出てくるキャラが一様にむかついてしまって楽しめなかった。とりわけ主役が酷い。事件のことがどうでもよくなってしまった。
「ラストに附された広告」「邪馬台国はここですが、なにか?」と「ドラビアンナイトの殺人」は是非本文を読んでみたいです。

 全体としてのレベルは予想の上を行っていた。何より忙しい(だろう)中、これだけの数を集められるのに感心する。今後も活動を続けていってもらいたい。
 この記事読んでタイトル等、興味を惹かれましたら、下記URLからコンタクトしてもらえると、作品読めるんじゃないかと思いますので、よろしければどうぞ。どこで読むのにも恥ずかしくない素敵な装丁は必見です。

青龍友之会ホームページhttp://www.geocities.jp/seiryutomonokai/