小畑しゅんじ作画『完全版ネオマスク』

ネオマスク〔完全版〕 (マンガショップシリーズ (127))
辻 真先 小畑 しゅんじ

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マンガショップ 2006-10-12
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 1972年に週刊少年チャンピオンで連載されていたもの。復刊情報は著者サイトで知った。

正統派少年ヒーローものを狙い、第一回はたしかに読者受けしたらしいが、ぼくの悪い癖ですぐ息切れする。オリジナリティの蓄積がないのだ、たぶん。小畑しゅんじさんが頑張ってくれたにもかかわらず、初期の興趣を持続できなかったのは、悔いてもあまりある。
“チャンピオン”ではその後も、『バトルナイト剣』などで、ヒーローマンガに挑戦したけれど、成功とはいえなかった。ひねくれたガキだったぼくは、なまじオーソドックスなアクションを狙っても、決まって的を外してしまう。まず企画の段階で、ひとひねりしたヘンテコな作品を工夫すべきだったのだ。……って、そんなモノが企画を通ったとは考えられないが。いまとなってはすべて手遅れだ、悔しい。

 という著者のコメントからも明らかなように、確かに全体としてみれば成功しているとは言い難い。特にラストはグダグダ。
 主要キャラクター(というよりヒロインにしようとしたんだろう)陽子とその父、萩尾警部には活躍の場も与えられないし、超人兵団という敵組織も、ネオアトラスという正義の団体も全体像がボヤけてしまっている。
 だが、ザンボット3より五年も早く、ヒーローが悪役として周りから扱われるという設定を作っているところは評価されて良いと思うし、国民総番号制への言及もかなり早いものではなかろうかと思う*1
 後ろに行けば行くほど困った作品ではあるけれど、前半は色々な可能性を孕んでいたように感じられた。萩尾親子を使いこなせなかったことが悔やまれる。

*1:調べてないので誤解かも。