凄く面白いから是非読むべしと勧められるままに読んでみたら凄く面白かった。amazonに載っていた日本語版の紹介文はこんな感じ。
窓にうつる幽霊の影が目撃したもの。事件当日にメイドが大空に見た不吉な徴候。カジノのルーレット係が見せた奇怪な振る舞い。一枚の絵が語る自殺の真相― 事件の陰にドラマあり。神秘の探偵ハーリ・クィン氏と、人生の観察者サタースウェイト氏の名コンビ登場!幻想味あふれる珠玉の連作短篇12篇、新訳決定版。
ついでにamazonのレビューから収録作品リストもパクって載せておく。すべて短篇。
「クィン氏登場」
「窓ガラスに映る影」
「<鈴と道化服>亭奇聞」
「空のしるし」
「クルピエの真情」
「海から来た男」
「闇の声」
「ヘレンの顔」
「死んだ道化役者(ハーリクイン)」
「翼の折れた鳥」
「世界の果て」
「道化師の小径」
前書きによれば、作者が気に入っているのは、「海から来た男」「世界の果て」「道化師の小径」の三本らしい。自分は「空のしるし」「闇の声」「ヘレンの顔」も好きだ。
で、クイン氏ことハーリ・クインはウィキペディアにも立項されているキャラクターなんだけど、俺にはサタースウェイトの方が探偵役だとしか思えない。そう捉えたからこそ本作は非常に面白かった。というのは、俺的視点では、これはいかに探偵というキャラクターがワトソンを必要としているかが、明確に書かれているからだ。サタースウェイトはいつも、クインとの対話で、励ましを求めて相手の顔を見る。するとクイン氏はそれを与える。それによってサタースウェイトは加速し真相へと至る。クイン氏は奥ゆかしいので、「すごいよホームズ!」とは叫ばない。サタースウェイトも奥ゆかしいので「初歩だよ、ワトソン君」とは言わない。しかしやっていることは同じだと思う。
思うにこれは最強(いやもっとすげーワトソンもいるかもしれないが)のワトソンの話だろう。
いや面白かった。このシリーズはあと二作品あるそうなので、機会があれば是非読んでみたい。
ところで、Amazonのレビューでクイン氏をブギー・ポップになぞられている人がいた。なるほどなあと思った。
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日本語版はたとえばこちら:
謎のクィン氏 (クリスティー文庫)
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