瀬名秀明・芦辺拓・田中啓文・辻真先『鉄人28号THE NOVELS』

鉄人28号 THE NOVELS (小学館クリエイティブ単行本)
横山光輝 辻真先 瀬名秀明 芦辺拓 田中啓文

4778037529
小学館 2012-11-15
売り上げランキング : 434411

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 日本SF作家クラブ創立50周年記念出版作品。帯には、「4人の作家が描く、鉄人28号のアナザー・ストーリー」とある。

収録作品は
プロメテウスの悪夢 瀬名秀明
寝台特急あさかぜ殺人事件 芦辺拓
夢のなかの巨人 田中啓文
殺人28号研究オヨヒ開発完成ニ至ル経過報告書 辻真先
の四本。

「プロメテウスの悪夢」はものを考えるロボットに悪事を覚えさせて、犯罪を行わせる悪い奴と、そのロボットの電子頭脳に興味を持つ外国の博士と、鉄人の三つどもえでアクションな話。悪天候だと電波が干渉を受けて、鉄人動かしにくいとか、ああそっかあと思う部分がいくつか。しかし、敷島博士の息子はぐれずに育つことができるのだろうか……(いや、そんな話ではなかったのだけど)
寝台特急あさかぜ殺人事件」は世界少年探偵会議開催から始まり、当時のテレビキャラクターとか、てんこ盛りっぽかった。そして謎のアリバイトリックが出てくる。楽しく読んだ。
「夢のなかの巨人」は……えーと、おれはよく知らないんだけど、これってじゃりんこチエがモチーフなのかな……。面白かったけど、鉄人28号命名由来がすごすぎる。まさかこんな組み立てかよと驚いた。
「殺人28号研究およひ開発完成ニ至ル経過報告書」は、大戦末期を舞台に、鉄人とは別のロボット兵器を開発していた人たちの話で、もっと長かったら面白かったかもしれないなあという消化不良な感じが。それでもロボットはチェコスロバキアの言葉だから敵性語ではないとか、おお、言われてみればと思った。あと、戦後になったからって急にカタカナ語が増えるところもちょっとくすぐられた。
残念だったのは「27号」と書くべきところが「26号」となっていたり、「28号」と書くべきところが「27号」となっていたりしたことか。
 
全体を通すと「プロメテウス」と「あさかぜ」に同じ名前のキャラが出てきたり、「あさかぜ」と「夢のなかの巨人」に同じものと思われるようなモニュメントが出てきたりしたので、緩くつながってるのかと思ったが、「殺人28号」では、気づけなかったから、ただの偶然だったのかも。あと後ろに行くにしたがって、鉄人から離れていくような構成になっていたが、これはたまたまなのか、狙っているのかとか、そんなことが気になった。まあでも、辻真先の作品が読みたいから半分、表紙が気に入った半分で買ったにしては、そこそこ楽しめたのだった。鉄人の格好良くないのに格好いい感じってなんだろうか。大昔に『ゲームブック 鉄人28号東京原爆作戦 (Amazon)』という本を読んだら、プラモデルの鉄人の挿絵というか写真というか、そういうジオラマがたくさん入っていて、それがとても素敵に見えた。あれ以来、どうもお気に入りキャラクター化しているらしい。

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