大倉崇裕『福家警部補の挨拶』

福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)
大倉 崇裕

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東京創元社 2008-12
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 なんかの弾みでamazonの商品ページに辿り着き、レビューを見たら「コロンボ」「コロンボ」とみんな言っているので、どんなものかと読んでみた。
 収められた四本の短編すべてが倒叙形式を取っていて、チビで眼鏡の福家警部補(名前は不明。女性)が、ささいなひっかかりから犯人を特定し、追い詰めていく形になっている。犯人は私設図書館の責任者(最後の一冊)、元科警研科学捜査部主任(オッカムの剃刀)、女優(愛情のシナリオ)、酒造経営者(月の雫)。みなさん最後を格好良く退場していくところとか、たしかにコロンボっぽい。いや、コロンボかどうかはともかくとして、この短編集はどれも非常に面白く読めた。特に「オッカムの剃刀」がよくできてるなあと感心した。犯人が「君はいつ気づいたのかね?」と問いかけるコロンボ的にお馴染みの場面で福家警部補が返した答えとか、もう最高。
 第二短編集もすでに文庫化しているようなので、キンドル版が出たら読もうと思う。
 面白かった作品はあんまりネタバレさせたくない気持ちが強くなって、紹介で何を書いたらいいのかよくわからないことが多いのだけど、これもそのタイプで、是非是非前知識なく読んで欲しい。幸せなひとときを過ごした。

 あ、そうだ。みなさん、コロンボコロンボと言っていて、俺も読みながら「おお、コロンボっぽい」って何度も思ったんだけど、福家警部補(三十代女性、酒に強い)がまったくコロンボっぽくないところをこのエントリーを書きながら一箇所発見した。四本読んだ限り、一度も「うちの旦那がこう言うんですよ」とは言わなかった。そのうち言い出したりするんだろうか。それはそれで楽しそうだ。

こっちはキンドル版。今日確認した価格は五百円。
福家警部補の挨拶: 1 (福家警部補シリーズ)
大倉 崇裕

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東京創元社 2008-12-12
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