迷犬ルパンの名推理 (カッパ・ノベルス)
辻 真先
光文社 1983-01
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おすすめ平均
Amazonで詳しく見るisbn:4334025102 by G-Tools
「迷犬ルパンの名推理」を読んだ。言わずと知れたと言い切れないような気がするが(なにせ文庫も絶版だ)一応辻真先の代表的なシリーズの第一弾。
大の正義感だが、お人好しでオッチョコチョイの警視庁捜査一課朝日正義(あさひせいぎ)刑事――その朝日刑事とタレントのたまごのランがその犬と出会ったのは、私鉄沿線のおでん屋の屋台だった。朝日の好物のゲソを横取りし、風のように去った犬をランは「カッコイイ!」とルパンと名付けた。以後朝日刑事とランが巻き込まれる怪事件に颯爽と登場するルパン! その謎が解けないうちに犬一匹入り込めない密室で第二の殺人事件が……!? 策謀うずまく芸能界を背景に迷犬ルパンの名推理が冴える、ひと味ちがうスパイスの利いたユーモア本格推理の秀作第一弾!
というのがカバーの袖*1に付されたあらすじ。解決……ミスタッチ、解説は小峰元。裏表紙には「拝啓 ルパン殿」と題された三毛猫ホームズからのお手紙。初登場シーンも三毛猫のホームズを凶暴なワン公から助けてあげるといった案配で、それが読者に「三毛猫ホームズの二番煎じ」というイメージを与えたのだろうけど、ついでに「三毛猫ホームズ」シリーズに対しても言えることなんだけど、シリーズものの第一作が詰まらなかったらシリーズ化するわきゃないのである。本作で言えば、構成に無駄がないし、キャラの掛け合いも良くできてる*2。何カ所か「おお!」と思ったところもあるが、例によってそれがすべてネタバレに直結するので、何も書けないのだった。ネタバレじゃないところで言えば、「なんだって犬コロが事件を解決できんだよ!」という野暮なツッコミへの回答は他の作品でずっとあとになってから行われるので、今から見れば全部複線に過ぎないのである、ということだけは言っておきたい。いずれにせよ「犬が事件を解く」「三毛猫ホームズの模倣」という先入見だけで不当な扱いを受けている作品だと思う。面白かったぞ。
追記:アマゾンのデータは一月発行になっているけれど、実際には八三年の七月十五日。
2013/06/13追記 わーい、キンドル版が出てた〜。確認時の価格は735円。
迷犬ルパンの名推理 (光文社文庫)
辻 真先
光文社 2005-11-10
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