『火の国死の国殺しを歌う』

火の国死の国殺しを歌う (徳間文庫)
辻 真先

4195680484
徳間書店 1986-04
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by G-Toolsisbn:4195680484
「火の国死の国殺しを歌う」を読んだ。トラベルライター瓜生慎シリーズ第4弾。今回の舞台は九州。連続して起こる老人の死の謎を追って、瓜生慎が走り回るが、その慎を追いかける殺し屋たちの影もチラホラ。事件自体はいつもにもまして悲しい話。
 しかし今回一番印象に残るのは慎の恋人真由子である。通っていた浄知大学の国文科を中退し、家計のやりくりに奮闘する姿は三ツ江コンツェルン令嬢とは思えません。健気です。そんな真由子に本作ではなんと待望の赤ちゃんが! 妊娠キターーーーー! と叫んじゃったね、思わず。
 そんなわけで本作はこのシリーズにおいて第一作「死体が私を追いかける」以来の慎と真由子の関係に変化到来というターニングポイント的作品だった。
 でも慎も偉いよね。まだいまも現役で頑張ってるんだから。
 そして動機だのトリックだのの読ませどころはいつも通りネタバレと密接に重なってくるので、まったく紹介することができないのだった。
 ただ上のように真由子妊娠キターーーーー!を、感激して読みたい向きには、やはりシリーズを順番に読むことをお勧めしたい。なければ探せ。