『聖魔伝』(全三巻)

セイントデビル―聖魔伝 (1) (講談社漫画文庫)
辻 真先 石川 賢

4062604442
コミックス 1998-07
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by G-Toolsisbn:4062604442
 リンク先は現在入手可能な講談社漫画文庫版で「セイントデビル―聖魔伝」となっているが、読んだのは朝日ソノラマのサン・ワイド・コミックス。で、初出が出ていなかったのだが、こちらによると「マンガ少年」の創刊号から連載されたものらしく、原作者のクレジットは桂真佐喜になっている。

醜きユンクは神の子、美しきテレサは悪魔の子――愛し合う二人が、なぜ憎み戦いつづけなければならないのか!? 大天使、大悪魔の凄絶な闘争を背景に、永遠の愛を追求する衝撃作<全3冊>

 というのが、本に付された作品紹介。まんまデビルマンの二番煎じ*1なのだが、デビルマンを狙ったと言うより、石川賢を暴れさせる*2のに必要な設定がこんな感じだったのかなと思う程度に、生き生きと描かれている。辻真先だなあと思わされた部分は、オカルト現象に理屈付けしないと気の済まないところと、デビルマンのように狂った民衆を描くことを断固拒否しているところだろうか。ここでは人間の負の面が軍需産業と政治家の欲望という形を取っている。
 あと当時はどう取られたのか分からないけど、今見ると思わず吹き出しちゃう演出が結構あり、それが自分には良い味に思えた。
 筋やらキャラやらは別にどうってことのない作品だけど、結構好きかも。とくに主役二人を愛して止まないお爺ちゃんが。あ、言い忘れていたけどユンクとテレサ姉弟です。

*1:万が一違ったら恥ずかしいと思って検索をかけてみたところ、デビルマンの連載期間は1972年(昭和47年)25号(5月26日発売)〜1973年(昭和48年)27号(6月1日発売)で本作より四年早い。参照:http://www.asahi-net.or.jp/~dn8y-fjmr/dod00.html

*2:圧巻は二巻の終盤で蜂巣にされながら逃げるユンクとか。