A. A. Milne The Red House Mystery

The Red House Mystery (Dover Mystery Classics)
A. A. Milne

0486401294
Dover Pubns 1998-10
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蜂がうなり、鳩が鳴きかわすけだるい夏の昼下がり。ウッダムの村の「赤い館」で奇怪な殺人事件が発生!たまたま館を訪れた優雅なる“フリーター”、アントニーギリンガム氏は、急遽、探偵稼業を選択する。理想的なワトソン役にも恵まれたギリンガム氏の推理の腕前はいかに―?!『クマのプーさん』の作者が、生涯ただ一冊書いた長編本格ミステリー。極上の英国的ユーモアに満ちた愛すべき名作。

英国の劇作家ミルンが書いた唯一の推理長編。しかも、この一作でミルンの名が推理小説史上に残った名作。暑い夏の昼さがり、赤い館を十五年ぶりに訪れた兄が殺され、家の主人は姿を消してしまった。二人のしろうと探偵のかもし出す軽妙な風味と、専門家はだしの巧妙なトリックは、通人の珍重するキャビアの味、と評されるゆえんである。

 引用したのは集英社文庫創元推理文庫のあらすじ紹介。発表は1922年。「クマのプーさん」を書く前のミルンの代表作、らしい。
 キャラクターの扱いって大事だなあと思った。
 探偵役のギリンガムは映像記憶(ウィキペディア)の力を持つ設定で、それプラス推論で事件に挑む。その力を友人のビルに示すところはなかなか良く書かれている。ビルの方はワトソン役を引き受けて「righto!」を連発しながら、ギリンガムに付き合ってくれる良い友人で、こいつがもっとも魅力的だったかもしれない。
 問題は他のキャラクターの扱い。固有名詞は結構出てくるのに、あまり活躍させてもらえない。特にオープニングに出て来たメイドたちはそれぞれ個性もあり、いくらでも転がせそうなのに、すぐに引っ込んでしまって残念だった。特にミセス・スティーヴンズが、「私は決して自分を偽ったりしたことはありませんよ、もし私が五十五歳なら、私は五十五歳なのです」と言って、姪のオードリーが「おばさん、五十八でしょ」と突っ込んだときには、この人たちがどう絡んでくるんだろうとワクワクしたのだけど、ほとんど動いてくれず、なにやら消化不良な気分。

 事件が始まってからも、なんだかダラダラしていて、ちょっとくたびれた。図書室の場面はなかなか緊張感があったし、最後の方も良いフレーズなどあって、紹介したいのだけど、ネタバレになるから控えておく。そうなると、これといって褒めるところがなくて、困ったもんだ。ひょっとすると何か思い出すかもしれず、そうしたら追記するつもり。

 一応翻訳も紹介。集英社版の方は手元にあって、解説だけ眺めてみたら、赤川次郎が書いていた。

赤い館の秘密 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10 (8) 集英社文庫
A.A. ミルン A.A. Milne 柴田 都志子

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赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1))
A.A.ミルン 大西 尹明 A.A. Milne

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