『列車内での悲鳴はお静かに―オリエント急行6泊7日死体つき』

列車内での悲鳴はお静かに―オリエント急行6泊7日死体つき (新潮文庫)
辻 真先

4101355029
新潮社 1985-03
売り上げランキング : 398315

Amazonで詳しく見る
by G-Toolsisbn:4101355029
 キリコの兄克郎とツアーコンダクター萱場智佐子のシリーズ第二弾。今回のツアーはオリエント急行で行くヨーロッパの旅。オリエント急行といえばクリスティの作品が有名だが、本作はもちろんあれとは違う趣向なので、ちゃんと犯人捜しができる。
 克郎と智佐子のシリーズ第2弾と書いた割に、克郎は金がなくてツアーに参加できないが、事件の発端となる死体の発見役になる。克郎の発見した死体には手首がなかった。そしてオリエント急行の中では、手首だけが現れた。果たしてふたつの事件はどう繋がってくるのか。漫画家那珂一兵、編集者新谷、近江由布子ママをゲストに迎え、日本とヨーロッパに別れた二つのチームは事件の謎を解けるのか? というお話。大金持ちの貴族キリエルさんも出るよ。
 ところで冒頭地の文に「克郎は去年の秋、彼女にみごと失恋している。」と出てくるのだが、デートをすっぽかしたのは克郎なのであって、振られたのは智佐子だったんじゃないかと。「ブーゲンビリアは死の香り」からこの作品までの間、智佐子がどうしていたのかが気になる。克郎は「寝台特急ひかり殺人事件」でも元気に女を口説いていたよな。そこでキリエルと知り合ったわけだし。ま、いずれにせよ、前作のラストが非常に歯痒かったので、誤解が解けて何よりだ。
 解説者は竹宮恵子なんだが解説してるのか、ヨーロッパ旅行の自慢をしているのか微妙な文章だった。
 読み終わって残った疑問:那珂の娘が新谷の養女でキリコの同級生と書いてあったのだが、どの本に書かれたエピソードなんだろう?