WBC世界フライ級タイトルマッチ 内藤大介−ポンサクレック・ウォンジョンカム

 4度目の対戦である両者。相手の良さをつぶし合う12ラウンドだった。
 個人的には、初めて見たときの印象が強すぎて、ポンサクレックが負けるところがどうにも想像できなかったのだが、内藤の動きはポンサクレックに、あの美しい連打をほとんど出させなかった。衰えてしまったかと思わせるほどに。8ラウンドくらいに、見覚えのある連打が始まったけれども、すぐに停まってしまった。
 4ラウンド8ラウンド終了時にスコアの発表があって、はじめがポンサクレック2ポイントリードがひとりで、あとはドロー、8ラウンド終了時の方では内藤4ポイントリードであとはドロー。どう転んでもおかしくない展開が続いた。
 非常にいい場面だなと思ったのは、12ラウンド開始のとき。グローブを合わせるのならよく見るが、二人はいちど、まるでもう試合が終わったかのように、肩を抱き合い、それから打ち合いを始めたのだ。勝敗がつくのが残酷に思える一瞬だった。
 結果は三者三様のドローで、内藤2度目の防衛。なぜか内藤の方が悔しそうだったのは、二度負けた相手にまだ一度しか勝っていないからだろうか。しかしあのポンサクレックと二回試合をして、二回とも負けないというのは、それだけで凄いことだと思うのだが。
 派手さはなかったけれど、頭とハートがぶつかりあった素晴らしい試合だった。

 ところで内藤よ、トラッシュ中沼にもチャンスをあげたりはできないものかね? 
 と、書いてから調べてみたら、中沼の方は日本ランキングからも外れているみたいだった。2006年を最後に試合からも遠ざかっているようだ。数年前フライ級が熱いと言われていたとき、一番好きだったんだけどな、中沼。どうしてるんだろう。