大江健三郎『万延元年のフットボール』

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)
大江 健三郎 加藤 典洋

4061960148
講談社 1988-04-04
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 ひたすら読みづらくて、進むのが地獄の行軍だった。メインは兄弟の当てこすり合いだったんじゃないかと。田舎の人の描写にも視点人物の描写にもうんざりした。ただし、会話は音読したときに限り笑えるので、また別の作品を読もうとは思っている。

「しかし、僕は、きみのアルコール嗜好について、ひとつだけ確かめておきたいと思っていることがあるのさ」
「私が、現在のアルコール中毒を、やがては自然に過ぎさる青春の一体験とみなしているのか、逆にそれが私の老年に向かって崩れてゆく、若さの崩壊の最初のあらわれであって、私は死ぬまでそれに附き合わなければならないと感じているのか、どちらなのか? ということでしょう。私のアルコール中毒のそもそもの源は母ゆずりだし、すでに私は昨日の退廃が毎朝回復するという年齢ではなくなっているから、正解は後者だわ。自分の皮膚に新しい皺が現れるたびに、自分はこの皺と共に死をむかえるんだと納得する年齢なんだから」

 ↑どんな会話だよと非常に印象深かったくだりの例。

キンドル版も出ていた。確認時の価格は1296円。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)
大江健三郎

B00GY19N66
講談社 1988-04-10
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