手塚治虫『ネオ・ファウスト』

ネオ・ファウスト
手塚治虫

朝日新聞社 1989-04
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　再読。といっても、買った直後に読んだきりだったので、四半世紀ぶり。最期のコマくらいしか覚えてなかった。こんな話だったのね、という感じ。
　学園紛争のさなか、人生に失望していた一ノ関教授は悪魔・メフィストと取引きをし若さを取り戻そうとするのだけども、うっかり記憶はなくなるわ、青年時代に戻るはずが、落ちる時代を間違えるわで、タイムパラドクスを抱え込むという設定プラス冒頭に灰になるまで焼かれた死体がいくつも出てくるミステリー的な書き出しで、今読んでもそれなりに面白い。冒頭部分の物語は第一部の終わりのほうで、視点を変えて語り直されるのだけども、一瞬、体調が悪くて労力削減しようとしたんじゃないかとか思ってしまった……。あと一年手塚治虫の寿命が長ければ、最期まで読めたはずなんだけど、残念だ。学生運動のリーダーが残していった精液をどう使うつもりだったのかが気になるなあ。