Charles Brockden Brown『Wieland: or, the Transformation, an American Tale』

Wieland: or, the Transformation, an American Tale (English Edition)
Charles Brockden Brown

B0082ZFVWM
2012-05-12
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 著者のプロフィールはこちら。「アメリカン・ゴシックの父」とか言われている人らしい。
 父親が自然発火現象めいた死に方をしたヒロイン(語り手というか、友人への手紙という体裁なので回想記の作者か?)とその兄。兄の妻とその兄弟の4人を中心に話が進む。兄の妻そっくりの声が、妻のいるはずがない場所で聞こえたなんてエピソードから、徐々に不気味な雰囲気が立ちのぼり、謎の男カーウィンの登場から緊張感がいや増しに高まっていく。謎の声が生む恐怖や誤解がたっぷり出てきて、最後は意外にも絵解きがされる。プロットレベルで見るとやってることが案外現代的で軽い驚きがあった。
 一方で興奮してくると妙に大仰な喋り方に単語が切り替わったりして、なんで? と思ったり、心内文にポカーンとなったり、神さまが見守ってくれているはずだからなんて理由で戸締まりをしないヒロインに呆れたりと、細部はちょっと今読むのは苦しいかもとも感じた。
 邦訳も存在するようなので(amazon)、機会があったら、あの大仰な台詞がどう訳されているのか確認してみたい。
 『フランケンシュタイン』とかの語り口を楽しめる人なら、これもいけそうな気がした。