蜘蛛の巣は帯電している

 今日一番の「へえ」だった、これ。スレッドの続きでソースの論文へのリンクもあります。

安倍元総理の政治利用はやめてください。

 国葬の話である。
 7月8日に安倍元首相は奈良で凶弾に倒れた。
 意外にも狭義の政治テロではなく、広告塔になっていた宗教団体の絡みによる怨恨が犯行動機だった。
 問題の教団は与党にだいぶ入り込んでいて、目下つながっているのは誰かって話が飛び交っている。
 メディアのコメンテーターにもつながりのある人間が多いのか、あるいは自民党への義理からなのか、問題を矮小化しようと躍起になる人たちが散見されている。(しかし、一強の政権与党が霊感商法のカルトに侵食されているなんて話に「まあ、そういうもんだ」と言えてしまうのは、冷静でも独自の視点でもなく、そいつもつながってるんだろうと考えた方が無難だし正解可能性高いだろうと思われて終わりじゃないかという気がするんだけどね。自分の信用を賭けて何してるんだろう、あの人たち。まあいいや。)
 で、そんななか岸田首相が早々に安倍元首相の国葬を決めた。
 当然、さまざまな批判が出ている。
 信教の自由に抵触する。
 税金の無駄遣い。
 あれだけ国の私物化を続けた元首相は国葬にふさわしい人物ではない。
 根拠法がない。
 などなど。
 けれども、吉田茂が今の憲法下で閣議決定だけで国葬になっている前例があるのに加えて、上記のようにデカいスピーカー(メディア)は押さえられているので、政府は押し切れると踏んでいるだろう。
 この前例ありってのがやっかいで(関係ないけど、吉田の国葬をごり押しで決めたのは安倍のおじに当たる佐藤栄作なんだってね)、吉田の国葬を無効にすべしっていう、数年前のことだってろくに覚えちゃいない国では不可能な歴史検証を要求しないと前回「問題なかった」のに、今回できないと主張する論拠が出てこないように思う。吉田の国葬ができてしまった以上、屁理屈はついているのだろうと考えるからである。
 で、反対するならどうするのがいっちゃん簡単に世論形成できるんだろうって考えた結果、出てきたのがタイトルの主張。
 人の死を政権維持に利用するなというのは、違憲だとか違法だとか、安倍元首相の実績評価とかといった「小難しい」話よりも、通りがよくて「言われてみればそうだなあ」と思わせるのではあるまいか。少なくとも自分的には、このほうがわかりやすい。それじゃ駄目だという向きもあるだろうし、おそらくはそう言う方々の考える理由は正しい。なのだけど、ここでは「いっちゃん簡単に世論形成できる」という問いの立て方をしているので、大事な論点がごそっと抜けるのはご勘弁願いたい。
 ただ、国葬が安倍元総理の政治利用であるというのは、別に無理な解釈でもなければ、でたらめでもない。
 国葬にする理由として岸田首相は「国民が最後のお別れをできるように」とは言っていない。在職期間の長さやら功績(具体的には語っていない)やら、民主主義を守る(狭義のテロではないと思うので、この理由はなんとも不思議な気がする)やらを並べただけ。国葬を決めたのは、国民感情に応えたというわけではなく、最大派閥の領袖を粗雑に扱って反旗を翻されちゃ困るから多少支持率を下げることになっても無理矢理やってしまおうと思っただけなのは透けて見えている。ここで安倍元首相の扱いを間違えると政権を維持できないのだ。
 吉田の国葬の評判が芳しくなくて佐藤や大平のときは国葬にできなかったという歴史に鑑みて、岸田首相自身、ほんとはやりたいわけでもなく、ただただ安倍元首相周辺の機嫌取りのためにやらざるを得ないというのが実状だろうから、世論が盛り上がって取りやめになれば、ホッとするだろう(顔は苦渋の決断ですって表情を作っていたとしても)。
 安倍元首相にしても、霊柩車の通り道に人がわんさと押しかけたところまでは嬉しかったかもしれないが、みんながスマホを取り出してバシャバシャやり出したのは、「あのさ……」ってなっていたに違いないし、これ以上空しいパンダの役回りを押しつけられるのはいささかかわいそうに思う*1
 このうえ、カルトとの関係を追及させたくないという自民党の都合や、最大派閥にこび売っておきたいっていう岸田首相の思惑で、悲劇的な死に見舞われた安倍元首相がパンダよろしくさらに動員されるのは、死者の尊厳を踏みにじる行為というほかない。
 岸田総理、安倍元首相の政治利用はやめてください。

*参考にした記事はたとえばこれ。
news.yahoo.co.jp

岸田首相は国葬を決めた理由として①(第1次政権、第2次政権あわせ)憲政史上最長の8年8カ月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって厳しい内外情勢に直面するわが国のために首相の重責を担った②東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開など大きな実績をさまざまな分野で残した③外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けている④民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から、幅広い哀悼・追悼の意が寄せられている─の4点を挙げた。

その上で、岸田首相は「国葬儀を取り行うことで、安倍元首相を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固と守り抜くという決意を示していく。あわせて、活力にあふれた日本を受け継ぎ、未来を切り開いていくという気持ちを世界に示していきたい」と強調した。

 ④の最後を見て、「国民が最後のお別れをできるように」とは言っていないというおれの主張が怪しいと思われた方もいらっしゃるかもしれないが、「その上で」以下を見ていただければ、最後のお別れ機会の提供には触れられていない。④の重心は「ものであり、」までにあると自分は考えている。

*1:っていうか、なんで人が集まったところで国旗か何か配って、手が塞がるように準備しておかなかったんだろうね、あれ。完全な見世物で少し同情したよ。おまけに国葬おめでとうだの、経済効果があるからやるべきだだのと目を疑うような「支持者」の言葉が飛び交うに至っては、この世の春を謳歌したように見えてた安倍元首相って、こんな風に思われていたのかとなんとも言えない気分になった(国葬の日を祝日にするべきってな意見は国語に不自由な人たちがいると思っただけだったけど、休日の意味で祝日を使っていないんだったら、これも「何言ってるかわかってる? 何を祝うの?」って思う)

岸田首相は山際大志郎経済再生担当相を更迭するべきである。

www.jiji.com

 山際大志郎経済再生担当相は3日、青森県八戸市で街頭演説した際、「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない。本当に生活を良くしたいと思うなら、自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」と述べた。野党議員の意見なら無視するかのような閣僚の発言として批判を招く可能性がある。

 感想は記事タイトルのとおり。
 自民党、調子乗りすぎって意見が多いんだけど、これさ、現役閣僚の発言なわけで、自民党が調子に乗っているだけで済む話ではない。
 閣僚が選挙の結果を堂々と歪めにかかったということであり、「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない」というのは議会制民主主義を否定した独裁宣言でもあるからだ。
 野党の人から来る話を政府は何一つ聞きませんというのは、野党とその支持者の参政権を認めないということである。
 参政権があるのは自公とその支持者だけだと言っているのだから、独裁宣言で間違いない。
 これを現役閣僚が口走り、なんら問題にならないとすれば、政府がそういうつもりで国会と対していることになる。
 岸田に聞く力があるとかないとかそんな些末事はどうでもよく、民主主義国家の土台を失っているのかどうかが問われている。
 この発言で失われる政府の正統性は、本人が希望しての辞任したところで回復しない。
 必要なのは政府による派山際発言の全否定と山際の行政府からの排除だ。
 それができないのなら、この国の政府はもはや自分たちを民主主義国家の政権だと認識していないことになる。
 これは政権を支持するかどうかとか、どの政党を支持するかどうかとはレベルが違う話だ。
 今回に限っては岸田首相は本当に決断と実行ができなければならない。
 そうでなければ、岸田首相は民主主義国家の首相の座に就いていてはいけない。
 それぐらいの発言を山際はしたのだし、こんな発言は絶対に流されてはいけない。
 首相の迅速な対応、およびそれを引き出す適切な報道がなされることを期待する。

追記:20220705 
 注意だけで終わりの対応。例によって「誤解を招く」の話法ですぐに忘れられると高をくくっているようだ。
 時事以外に最初の発言を報じた記事は見つけられなかったのに、注意したという記事だけを書いている新聞社はちらほら見える。どれもみな、自民党の議員が野党批判をしたという文脈にして「政府は野党の話を聞かないから自民党に入れろ」と発言したかのように報じている。
 最大のポイントは現役閣僚が「われわれ政府は」という主語で発言したことである。
 各社はわざとやっているのか、わかっていないのか。前者なら報道は政府の靴を舐めて死んだ(そういえば報道の自由度ランキングは世界72位とかでしたっけね)状態、後者なら報道のリテラシーが死んだ状態。
 いずれにしても惨状だ。
 こんな惨状では投票率が上がっても結果は変わらないだろう。
 よくわからないと思った人の頼る情報が忖度に塗れているか、さっぱりわかっちゃいない人間の手によるものかのどっちかなのだから。
 ちょっと辛いよね、メディアが駄目なの突きつけられるって。毎回辛い。
 

竹中平蔵と共著のあるお笑いジャーナリストたかまつなな氏が炎上サーフィンに挑戦中

 お笑いジャーナリストって「お笑いを報じる人」(戦場ジャーナリストとか料理ジャーナリストみたいな単語のくっつき方)かと思ったら、楽しく笑える感じに報じる人(民間ジャーナリストみたいな単語のくっつき方)で、まず驚いたって余談から始めちゃいましたが、表題の「竹中平蔵と共著がある」のとこ、まだびっくりする人がいるので、証拠としてリンクを貼る。買うのは推奨しない。
 

 燃えたのは、「選挙権を年齢に応じたポイント制にして高齢者の意見を通しにくくしよう、それが世代間格差解消につながる」(大意)という主張がアベマで配信されたのがきっかけっぽい。世代間格差じゃなくて経済格差が問題なんだという指摘が山のように入っているけど本人ガン無視中である。
 なぜガン無視してるのかと言うのには色々な推測があるものの、竹中の入れ知恵なら狙いは、福祉削って高齢者をパソナさせるルート作ることにあるんだろうとおれは思ってる。
 若者が生きやすい社会というスローガンを出せば、ベーシックインカムのときよりも批判がしにくかろうって計算があるのかないのかはわからない。
 ただ、アベマの直後から同時多発的にメディアがたかまつを取り上げるようになっているのは、なんか仕掛け(カラクリ?)があるんだろうなという気がしている。
 仮にシルバー民主主義なるものが存在するとして(しないから年金は削られてるし医療費負担が引き上げられてるのは忘れてはいけない。「仮に」は反実仮想だ)、たとえば前回衆院選の朝日記事(リンク)を見ても、自民党の支持率がいちばん高いのは「厚遇」されているはずの高齢者ではなく、10代20代だ。スローガン通りであるなら、「若者の声が通りやすい制度を」というまえに「政党の選び方を考えろ」と言うはずなのだが、今日時点での本人コメントはこれ。
 支持率の比率そのままで投票率だけ上がっても出力される結果は変わらない(今の政策が支持されてると解釈されるんだもん)のに、こんな風に言えるのは目的が「若者の生きやすい社会」とは別のところにあると考えなければ悩んでしまうところである。
 われわれは21世紀の始めに「若者のために既得権益をぶっ壊そう」という煽りを止めず、その手の発言する奴ばかりをオピニオンリーダーにしてしまった。結果どうなったって今の世の中になってしまったんである。
 それだけに、メディアがたかまつをもてはやすつもり満々なのを目にするのは危機感を覚える。バブル期の蓄えがあった時期と今じゃ「それでも持ちこたえられます」の度合いが違いすぎるでしょ。
 もちろん、表看板(「若者が生きやすい社会を」)は無視してはいけないテーマだ。
 無視してはいけないテーマであれば、取り組む人はたくさんいる。
 そうしたテーマのオピニオンリーダーに、何も竹中の息がかかった人間を選ぶことはないと個人的には考える。
 まとまらないっつーか趣向に欠けるっつーか、記事の名前の割にたかまつ氏の炎上サーフィンテクニック分析もしないで空振り感を抱いたみなさまには申し訳ないけど今思うのはこんな感じ。

『千の顔をもつ英雄』索引

タイトル通り。ページ、表記ともハヤカワの新訳上下巻のもの。ピックアップしたのは主に人名、神名、書名。モチーフだとか概念だとかも拾えば完成度はあがるんだろうけど、作業の手間が根気を上回ると考えたので諦めた。『線の顔をもつ英雄』読んでて、この人、ほかの箇所にも出てくるっけ? と思った人や、なんとなく知りたい神様の名前でググった人の役に立てば幸い。

アーガマ 上170
アーサー王 上86,下22,23,83,206
アーチャールヤ、シャンカラ 上183
アーディ・ブッダ 上224,226
アーナンダ 下251,252,253,254
アイエテス 下27,28
アイトゥ 下127
アイネイアス 上55,62,211
アイノ 下221
アイラーヴァタ 下202
赤い水蛇(アヴァイヨ・ピイ) 下250
アヴェスター 下230
アウォナウィロナ 上229
アウグスティヌス 上38,238
アウズンブラ 下139
赤ずきん 上139,下39
アキレス 上218
アクィナス、トマス 上17,下75,118,241
アクタイオン 上166,168,169,173,176
アクルナフアトル 下260
阿修羅族 上266,267,268,269
アスタリテ 下40
アステカ族 下246,259,260
アダム 上229,下54,117,133,146,236
アッキ 下193
アッティス 上70,142,212
アッラー 上73,99,102,106,114,115,116,118,207,217,233,下58,59,285
アディティ 上266
アトゥム 下257
アドニス 上212
アトラハシス 下43
アニ 下265
アヌ 下220
アヌルッダ 下254
アヌンナキ 上160,161,下44
アパッチ族 上251
アプアト 下264
アプシュルトス 下28
アビス 上85
アフェ 下223
アプサラス 上268
アブサロム 下84
アプシャイト 下263
アブラハム 下86,117,195,196,197,200,244,245
アブラハム、カール 下99
アフロディテ 上229,下40,42
アボリジニ 上26
アポロン 上95,96,97,124,264
天照(アマテラス) 下35,36,37,38,39,40,45
アメノウズメ 下37,38,40,49
アメンテト 下265
アラジン 上24
アラパホ族 上87,178
アランタ族 上207
アリアドネ 上44,45,46,110
アリストテレス 上48
アルケスティス 下30
アルジュナ 下66,67,68,70,71,73,79
アルダナーリーシュヴァラ 上230
アル-ディミルヤート 上114
アルテミス 上166
アル-ワラハン 上116
アレキサンダー 下84
アレス 上124
アン 下138
アンプ 下264
イアソン 上55,135,143,下13,27,28
イーリアス 下67
イヴ 上85,229,下133,146
イヴの福音書 上68
イオカステ 上22
イサク 下245
イザナギ 下28,29,30
イザナミ 下28,29,30
イシス 上87,下264
イシュタル 上275,下40,193,220
イスラエルの民 上60,61
イスラム教 上73,207,238,下103,231
イドノ 下83
イナンナ 上156,157,158,159,160,161,197,下40,41,42,43,44,45
いばら姫(眠れる森の美女) 上98,100,165
イブリース 上114,115
イフリータ(女鬼神) 上116
イフリート(鬼神) 上116,117,下58,60
イラート 下39
イリン・アイ・トヨン 下211
イルマタル 下166
イルマリネン 下160
インドラ 下201,202
ヴァースキ 上267
ヴァイツ 上36
ヴァジュラ-ダラ 上132
ウアル=ゲス=スゴ・ルアハル=スゴ 下248
ヴィーザル 下272
ヴィーナス 上147,下40
ヴィシュヌ 上21,266,267,268,269,下15,66,69
ヴィラコチャ 上215,216,217,218,270,下77,80
ヴィリ 下140
ウィルビウス 上212
ウィング、マーガレット 上15
ヴェー 下140
ヴェーダ 上15,170,下73,75,230,289
ウェルギリウス 上43,112,113
ヴェンツ、W・Y・エヴァンス 上241
ヴォータン(オーディン) 上70,98,263,285,下77,140,141,269,270,272
ヴォジャノーイ 上123
宇宙獅子女神 下74
ウッコ 下160
ウッチャイヒシュラヴァス 上268
ウトナピシュティム 上276,277,279,下43
ウパヴァーナ 下252
ウパニシャッド 上170
産土神(ウブスナ)
ウラノス 下138
ウルシャナピ 上276,277,279,280
ウルバヌス二世 上239
エウロパ 上29
エウリピデス 下30
エウリュディケ 下30
エオヒド 上174
エシュ 上76,198,215,217,下77,154
エスキモー 上17,136,148,下91,259
エスピノーサ、アウレリオ・M 上133
エッダ 下72,139,269
エドワーズ、ジョナサン 上188,189,220,228
エノシュ 下54
エメール 下222,224,247
エラト 上124
エリフ 上219
エリヤ 下63,64
エリル 上175
エル 上217
エルフィン 下80,81,82
エルリク 上151,下155
エレシュキガル 上157,158,160,161,下41
エロス 上229
エンキ 下42,43
エンリル 下42,43,138,220
オイディプス 上19,22,23,63,182,183,208,230,239,241,242
オウィディウス 下57,179
黄金の冠 下270
オコ-ジュム 上125
オシーン 下51,52,53,54,55,58
オシリス 上85,87,141,142,212,下33,258,262,263,264,266
オスチャーク族 上18
オデュッセイア 下90
オデュッセウス 上92
オナガー 下219
オネイロス 上55
オモイカネ 下37
オル 下129
オルフェウス 下30,129 

カーウシータキ・ウパニシャッド 上256
ガーゴイル 上140,152
カーマ・マーラ 上56,59,244
カーリー 上70,171,173,254,255
カール大帝 下194,195,246
ガイア 下138
ガイガー、ピーター 上15
ガウェイン 下206
カウストゥバ 上268
カシュヤパ 上266
カスバト 下207
葛洪(かつこう) 上280,281
カナン 下196
ガブリエル 下197,245
カマル・アル-ザマン 上101,102,103,114,115,117,118,119,下58,59,60,61,64,65
ガユール 上104,116
ラクタ 上267
ガラハッド 下206
ガリレオ 下287
カルデア人 上219
カルナ 下69,70
ガルム 下270,272
カレーニナ、アンナ 上47
カレワラ 下159,160,221
カローン 上147
カンサ 下234,235,236,239
ガンジス 上194
カンタカ 上55
観世音菩薩 上223,227,228
観音 上227,228,240
キ 下138
キケロ 上38,下107
キッシュ王 下220
キツネのルナール 下156
狐物語 下156
キャジンバ 上107,215
キャンベル、ジョーゼフ 上15,45,252,下73
キューピッド(クピド) 上80,147,178
キュベレ 上124,142
饗宴 下133
玉女 下261
ギリシア正教 上178
キリスト、イエス 上58,66,67,70,94,99,190,191,213,214,217,235,236,257,262,274,下46,48,63,64,65,75,92,95,101,104,146,189,190,191,200,239,243,273
キリスト教 上40,73,109,111,191,208,213,229,234,238,253,256,262,下23,40,41,92,93,94,103,176,190,191,194,206,219,231
ギルガメシュ 上211,273,275,276,277,279,280,下43
ギルガメシュ叙事詩 上273,276
キルギス人 下151
キンヴェリン 下85
金枝篇 上92
金童 下261
金母 下122
クアルグネ 下249
グウィオン・バハ 下18,19,21,22,80,86
グウィズノ 下80,81,82
グウィディオン 下84
グウィネヴィア 上155
クー・フーリン 下205,206,207,208,209,210,222,223,224,247,248,249
クーマラスワミー、アナンダ・K 上133,141,192,下279
グガルアンナ 上158
クザーヌス、ニコラウス 上134
クダイ 下155
クッレルボ 下160
トイス(血塊小僧) 下215,216,217
クト-イス 下198
國常立尊(くにのとこたちのかみ) 下36
グノーシス派 上229,262
首狩り族 上232
蜘蛛ばあさん 上108,109,135,196
グラーニア 下206
クリシュナ 下15,66,68,70,71,75,107,200,201,202,203,204,207,234,235,236,239,256
グレートヒェン 上110
グレゴリウス 下194,243
クロノス 上139,下138
ゲーテ 上110,111
ケーナウパニシャッド 下75
ゲスト、シャーロット 下21,23
ケツァルコアトル 下246,247
ケティ 下263
ケリドウェン 下18,19,20,21,22,80,85
ケル-アバ 下264
ケルベロス 上55,147
ケンタウロス 上27
ケンティ・カー 下264
コアトリクエ 下179,181
コイサン族 上121,122,下72
黄帝 上66,188,192,228
黄老 下122
紅老 下122
古エッダ 下140
コーラン 上73,105,207,217
古事記 下35
黒老 下122
宇宙女(コズミック・ウーマン) 下73,76,110
宇宙男(コズミック・マン) 下71,73
孤島の王子 上164,258
小人族 下206
コフィンテキスト 下257
五武器王子 上129,131,132,133,134,下105
ゴリアテ 上274
ゴルゴン 下19
コロンブス 上120,251
コンホバル 下206,207,208,222,224

サアディー 下231
サーンキヤ学派 下121
サイス 下264
サクソン人 下195
ザグレウス 上49
サソリ男 上273
サタン 上95,220,下94
ザッハリムニル 上263
サテュロス 上27,124,下30
サトゥルヌス 上137
さまよえるユダヤ人 上99,下77
サムソン 上274,下46
サラセン人 下194,195
サルゴン王 下193,220
ジークフリート 上98,下199
シヴァ 上170,191,192,193,194,195,230,251,254,255,266,267,268,下177,178,235
詩学 上48
ジカリア・アパッチ族 下233
死者の書 下262,264,266
ジズ 上264
シドゥリ-サビトゥ 上275,276
シトー修道会 上186
死神 下244,245
シニラウ 下179,180,182,183
シベリア人 上148,152
シメオン 上67
シメオン・ベン・ヨハイ 下115,116
脂毛 上129,134,135,下105
シモン、フレイ・ペドロ 下176
シャー・ナーメ 下231
ジャーミー 下231
シャーリマン 上101,102,103
ジャイナ教 下73,107,109,110,111
ジャムシード 下228,229,230,231,236
シャクティ 上230
シュー 下138
儒教 上248,下92
シュテーケル、ヴィルヘルム 上37,112,125,154,155,下99
シュムプレガデス 上140
シュメール人 下220
シュルティ 上170
ジョイス、ジェイムズ 上161
小乗仏教上座部仏教) 上224
少典公 下188
ショー、バーナード 上280
ショーペンハウアー 下134
ショチトナル 下260
シルウァーヌス 上124
シレーニ 上27,31,121
白い若者 下211,212、213,243
ジン(魔物 男性ジニー、女性ジンニーヤ) 上24,114,115,116,下58
新エッダ 下141
神学大全 下241
神曲 上43,270,下101,191,261
神族 上266
神道 下35,36,40
神農 下187
スヴェーデンボリ、エマヌエル 上152,153
スー族 下102
ズールー族 上139
スカーサハ 下222,223
スカンドラッハ 下208
スサノオ 下37
スジャータ 上56,60
スティ 下264
ストア学派 上36,38,下107
ストゥルルソン、スノッリ 下141
ズニ族 上229
スムリティ 上170
スラヴ人 下195
スリオン 下85
スルト 下272
アントニウス 上145,186
西王母 上250
聖書 上18,60,62,219,273,277,下93,191
聖ベルナルドゥス 上185,186
ゼウス 上29,132,139,212,217,270,下43,77,201
セクテト 下263
セツ 下54
セト 上141
セネカ 下107
セルゲト 下264
千夜一夜物語 上101,106
創世記 上251,下133,158,186
ゾーハル 下115,133
ゾロアスター 下101,228,230

タール人形 上133
タアロア 下130,131
太元玉女 上229
大乗仏教 上223,224,下121
ダイダロス 上29,30,45,46
巨人(タイタン)族 下138
太陽神 上108,196,197,198,199,下39
ダクシャ 上266
ダニエル 下273
タネ-マフタ 下137,138
ダハナシュ 上116,117,118,下58,59,61
タバー・ティンタイの美女 上164,258
ダビデ 上274
ダプネー 上95,97,98,99,100
タマトア 下129
タムーズ 上212
タラカ 下177
タラスク 下219
タラの王 上176
タリエシン 下22,81,82,83,86
タリエシンの書 下22
達磨大師 上248,249
ダンヴァンタリ 上268
タンガロア 下126,129,130,131
ダンテ 上42,43,110,112,113,264,270,284,下101,191,261
タントラ 上169,170
チャンドラグプタ 下193
チルウイ 上121
ツァラトゥストラ 下230,286
ツィマー、ハインリッヒ 上192
ツォンテモク 下259,260
ツ・マタウエンガ 下137
ディアナ 上166,167,168,169
ティアマト 下142,143,144,145,146,226
ティール 下272
ディオニュソス 上47,48,124.125,194,212
ディティ 上266
ティトス 上184
ディテュランボス 上212
ディルムッド 下206
ティラワ 上70
テイレシアス 上230
テスカトリポカ 上66,246,247
テセウス 上35,45,92,110,下219
テテュス 上201
ビルスレイヤー(悪魔退治) 上140
デミウルゴス 上69,84,218,下132,136,192
テミストクレス 上152,153
デュルケーム 下279
テラ 下196
デ・レオン、フアン・ポンセ 上280
デ・レオン、モーセス 下115
天地創造の石板 下139
トインビー、アーノルド・J 上34,35,40
トゥアハ・デ・ダナーン 上263,下206
ドーナル 下222
トール 下141,272
ト・カビナナ 下152,153
ト・カルヴヴ 下152,153
トト 上111,下264
ドラヴィダ語族 下230
トラソルテオトル 下157
トリスタンとイゾルデ 下206
リタラーシュトラ 下68,69
ドルイド教 下207
ドルジェ-チャン 上132
トルストイ、レフ 上47
ドレスデン写本 下267
ドローナ 下69,70
ドワーフ(小人) 上72,140,272

ナイアス 上202
ナイト、W・F・J 上211
ナヴァホ族 上108,110,135,141,196,198,217,283
ナポレオン 上111
ナルキッソス 下284
ナンナ 下42,43
ニーチェ 上36,下63,224,286,291
ニーラカンタ 上267
ニール 上175
ニコデモ 下95
ニザーミー 下231
西インド諸島地域の大陸部征服小史 下176
ニムロド 下195,196,197,232,234,239
如来(タターガタ) 下35,251,252
ニョルズ 下141
ニンシュブル 上157,下41,42
ニンフ 上124,168,下92,179
ヌウ 下263
ヌト 下160,264
ネイト 下264
ネティ 上158
ネプチューン 下43
ネミナータ 下107
ネメシス 上34
ノア 上277,279,下43,84,117

バー-ネブ-タットゥ 下264
ハーフィズ 下231
バール 上130
パールヴァティ 上170,下177
パールシー 下231
パールシュバナータ 下107
ハイアワサ 上136
バイウォーター、イングラム 上48
ハイ-ウリ 上121
パイオレ 下125,127,135
ハイドルーン 上263
ハイヤーム、ウマル 下231
ハイワサの歌 下160
バウキス 上217
パエトン 上199,200,202,203
バガヴァッド・ギータ 上170,下65
禿げ頭のテギド 下18
パシファエ 上29
ハスコット、マラカイ 上235
バスティアン、アドルフ 上36,37,38
バズンブワ族 上214
バッコス 上49,124,283
ハトホル 下160,263
パドマナータ 下110
パパ 下120,136,138
ハムレット 上23,182,183,下79
パヤナ 下155
バララーマ234,235,236
パン 上27,124,125
パンドラ 上44
ビーシュナ 下69,70
ピースト 上139
ビーバー・クラン 下282
ヒギンソン、ジョン 上235
ピグミー 上125
人食い鬼 上121,127,128,129,131,134,180,192,232,242,261,270,下215,224,228,234,236,237
人食い女 下25,86
ヒナ 下183
ヒネ-ヌイ-テ-ポ 上139
ビヒモス 上264
ピュトン 下214
ヒンドゥー教 上36,170,172,217,251,254,255,262,266,下55,65,67,95,107,111,113,129,158,177,207
ファーガス 下207
ファウスト 上110,111
ファウヌス 上124
ファタイ 下180
フィアフラ 上175
フィニア騎士団 下53,54
フィネガンズ・ウェイク 上161
フィルダウシー 下231
フィン族 下158,221
フィン・マックール 上139,下51,54,206
ブーリ 下140
フェニックス 下259
プエブロ族 下198,204,227,249
フェボル・ベグ=ボール・キムドゥール・フォルト・スグブ=ガリト・スゴ・ウアス 下248
フェンリル 下270,271,272
フォルガル 下222,224
フォルグス 上174,175,176
伏羲 下186,187
普賢 上132
プシュケ 上80,147,148,178,下193
双子の英雄 上135,141,198
双子の軍神 上108,196,217
ブタナ 下200,201
プタハ 下266
仏教 上36,132,170,224,228,245,246,下35,129
ブッダ(シャーキャムニ、ゴータマ) 上40,55,56,57,58,59,60,62,64,66,69,70,85,89,90,91,132,134,191,223,224,226,238,243,244,248,253,257,270,285,下14,101,107,179,193,200,250,251,252,253,254,259,264,284
ブドゥール 上101,116,117,下58,60,61
ブビ族 上18
プラーナ 上170,下55
ブライアン 上175
フラックス 上184
ブラック・タタール人 下155
ブラックフット族 下149,198
プラトン 上58,229,下133
ブラフマー 上60,266,268,下67,267
プリニウス 上38
ブリハダーランヤカ・ウパニシャッド 上243
ブリヤート族 下23,24
ブリュンヒルト 上98,100,165
プルタルコス 上124
フレイ 下142,272
ブレイク 上76
フレイザー、ジェイムズ・G 上37,92.142,下56,278
フレイヤ 下142
フロイト学派 上245,下241
フロイトジークムント 上13,19,22,23,28,37,83,84,99,125,265,下14,99,103
プロテウス 下276,277,278
プロテスタント 上237,下191
プロメテウス 上55,62,64,270
ベアトリーチェ 上110,112
ヘイニン・ヴァーズ 下83
ヘイムダル 下272
ペーネイオス 上95,99
ヘシオドス 下138
ヘシオネ 上139
ヘスペリデス 上86
ヘッベル、フリードリッヒ 上152
ペトロ 上184,下48,63,64
ペトロネラ 上184
ヘブライ人 上217
ヘラ 下200
ヘラクレイトス 上74,76
ヘラクレス 上139,下200,219
ペリー、W・J 上211
ペリー提督 上251
ペリシテ人 上233
ペルセウス 下19,20
ベルナルドゥス 上284
ヘルマフロディトゥス 上229
ヘルメス 上111,229
ヘルメス文書 上38
ペレモン 上217
ヘレン 上110
ヘロデ王 下175,232
ペン、W 上235
変身物語 下57,179
ヘンリー二世 下206
ホアテア 下127
ボアズ、フランツ 上36
ホアトゥ 下127
ポエブス 上199,200,202
ポーニー族 上70
北欧人 下195
菩薩 上40,223,224,225,226,228,240,241,242,243,244,247,248,252,253,257,282,下35,240,241,264
ポセイドン 上29,30,92,139,142,下43
ホメロス 下101
ボル 下140
ホルス 下263

マーズ 上124
マートル 下180
マーリド 上115,117
マーラ 下236
マーリン 下83
マイナス 上31
マイネッテ 下194
マイムーナ 上114,115,116,117,118,下58,59,60
マウイ 上139,270,271,272,273,下200
マオリ(神) 下168,169,171,172
マオリ族 下24,119,123,151
マグダラのマリア 下85
マグナ・マーテル 上63
マクマスター、ヘレン 上15
マクロプロソポス 下114,115,116,117
マザー、コットン 上187,236
マサッシ 下168,169
マタイによる福音書 下273,275
マタタ 下127
マッラ族 下251
マニ教 上262
マハーヴィーラ 下107,109
マハーバーラタ 上170,下67
マビノギオン 下22
マフ-イカ 上270,271,272,273
マリア 上109,110,178,179,217,257,下176
ルキアに寄せる慰めの書 下107
マルコによる福音書 下65
マルタ 下219,220
マルドゥク 下142,143,144,145,146,226
マレー、ギルバート 上48
ミクテカキフアトル 下260
ミクトランテクトリ 下259
ミクロプロソポス 下115,117
水差し少年(水差し小僧) 下204,205,227,228,249
ミダス 上283
ミッシュ-マーナ 上136
ミトラ 上212
ミネルヴァ 上264
ミノス 上29,30,32,44,93,94,142,143
ミノタウロス 上32,35,39,44,92,93,143,下92,187,214
ミューズ 上124,264
ミュラー 下278
ミラレパ 上239
ミレー族 下206
ミン神 上125
ムウェツィ 下168,169,171,172,173,175,186
ムチャクンダ 下14,15,16,17,32,54
ムハンマド 上66,114,下101,285
ムルンギン族 上26,206
明治天皇 下36
メージン 下83
メシア 下273,274
メディア 下27,28
メドゥーサ 上16,下19,20
メトセラへ帰れ 上280
メニンガー、カール 上237
メネス 下218
メネラオス 下278
メフィストフェレス 上111
メルクリウス 上111,112,217
メルティ 下263
モーセ 上60,62,66,141,下63,64,85,116,117,190,228
モーセ五書 下116
モーセ一神教 下103
モーム、W・サマセット 下57
木帝 下122
モリアン(バッド) 下248
モルゴン-ハラ 下23,24
モルダ 下19,20
モロンゴ 下171,172,173
モンテスマ 下55

ヤクート族 下211
ヤコブ 下63,245
ヤソダ 下200,201
ヤハウェ 上99,217,264,270
ヤンミンガ 上209
ユグドラシル 上71
ユダヤ教 上207,229,237,下103,117,121,130,133
ユピテル 上49,178,202,217,下43,179
ユミル 下139,140,141
ユルングル 上206
ユング、C・G 上19,26,28,36,38,98,157,254,下26,99,279
ヨセフ 上217
ヨナ 下46
ヨハネ 下63
ヨブ 上219
ヨブ記 上74,220

ラー 下257,259,262,263,264,265,266
ラーフ 上268
ラーマクリシュナ 上172,173,237
ライオス 上22
ラクシュミー 上268
ラップランド人 上148,149
ランスロット 上155,下206
ランギ-ポティキ 下120,136,138
ランク、オットー 下99
藍采和(ラン・ツアイホー) 上248
リヴァイアサン 上120,下219
リシャバナータ 下107,108
リップ・ヴァン・ウィンクル 下49,50,51,58,61,65
リョンロット、エリアス 下160
ルアヌク 下129
ルーミー、ジャラール・ウッディーン 上238,下231
ルカの福音書 下191
ルシファー 下84
レイヤード、ジョン 上211
レヴァルハン 下208
レビ人 上61
レビヤタン 上264
レミンカイネン 下160
レレク 下263
老子 上17,下101
ローハイム、ゲザ 上151,207,210,下99
ローマカトリック 上40,178,237,261,下93
ロカビューハ 下267
ロキ 下272
ロト 上99
ロビンソン、ヘンリー・モートン 上15
ロングフェロー、ヘンリー・ワーズワス 下160

ワイナミョイネン 下160,163,165166,167,192,213,221
ワタリガラス 上136,下32,33,34,35,45,91
ワチャガ族 上107,215
ワフンゴウェ・マコニ族 下167

読書メモ『武器としての「資本論」』どうしてもわからん

 こないだ白井聡の『武器としての「資本論」』を読んだのね。いろいろ面白かったんだけど、一箇所どうしても理解が追いつかないところがあった。以下のくだりである。

 必要労働時間とは、すでにお話ししたように、労働者自身と労働者階級が再生産されるために必要な労働時間です。マルクスの議論を素直に読めば、賃金水準は再生産のために必要な最低限の水準に張りつけられ、それを時間に換算したものが必要労働時間だということになります。
 再生産のために必要な賃金水準が、たとえば日給一万円としましょう。それだけもらえば自分自身が生活できるだけでなく、家族を作り子供を作って、労働者階級を再生産できるということです。その一万円の価値を生産するのに必要な労働時間が、たとえば五時間だとします。しかし実際に働く時間は一日八時間だとすると、差が三時間あることになります。その三時間が剰余労働時間で、剰余価値の生産に当てられている――というのがマルクスの説明です。
 必要労働時間を短縮するとは、どういうことなのか。
 たとえばある仕事において、日本の労働者の賃金相場が一万円だとします。ところが、ベトナム人研修生を連れてきて同じ仕事をさせれば、日給五〇〇〇円しか払わないでいい
すると一万円分の価値を生み出すための労働時間は日本人の場合は五時間だったけれども、ベトナム人研修生はその半分、二・五時間でOKということになります。すると剰余労働時間では、日本人を雇っていたときには三時間だったものが、ベトナム人だとそれプラス二・五時間で、五・五時間になります。

pp.208-9

 ここの定義だと必要労働時間は「労働者自身と労働者階級が再生産されるために必要な労働時間」なわけだけど、どうして「ベトナム人研修生」を連れてくると、必要労働時間が減らせるのかが理解できない。現実問題外国人のほうが賃金が低くされる場合は多いけど、それは必要労働時間が少なくて済むからなはずはなく、再生産については知ったこっちゃないからなわけでしょ。物価の安い土地に工場建ててそこで人を雇うって話ならまだわかるわけだけど、外国人連れてきたって、「必要労働時間」は減らせないでしょ。暮らす場所の物価は日本人労働者と変わらないんだから、再生産に必要な金額も同じじゃない? 雇う側が無視しやすくなるだけで。おれてきには「たとえば」で始まる例が、「必要労働時間を短縮する」ことの例には思えないというか、こんな例を「必要労働時間の短縮」と言っちゃいけないんじゃないかと思うんだけど、なんか見落としてるんだろうか。それとも本書でそう書かれていた記憶はないけど「必要労働時間」というのは雇用側が決めるものって定義が前提にあるのか? なんとも不思議。
 あ、全体としては、「ああ、そういうことだったの」って思ったところも色々あった(特に新自由主義=富裕層の仕掛ける階級闘争って指摘は「あーーーー」ってなった)ので、最初に触ってみる本としてはいいんじゃないかという印象だった。ここだけどうしてもよくわからなかったってだけで。


読書サイト更新『マルジナリアでつかまえて 書かずば読めぬの巻』

 久々に読書感想書いた。三ヶ月とかあいだが空いていた。この間いちばん読んでいたのは竹本泉の作品だったのだけど、あれの感想書くのはおれの手に余るっつーことでエントリーは作らなかった。これも色んな話盛りだくさんなのをほわほわと読んだだけでまとまった感想にはなっていないけど、まあ、記録しておかないと記憶からすっかり消えてなくなりそうなところを一つ二つ拾っておこうと思ったのだった。
gkmond.blogspot.com