大学

大学 (講談社学術文庫)
宇野 哲人

4061585940
講談社 1983-01-06
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by G-ToolsISBN:4061585940
 知人に勧められたので「大学」を読んでみる。儒教の本。本文が1753字しかなく、書き下し文、白文、語釈に和訳くっつけても100ページないお手軽さ。序文によれば、あちこちの学校においてある二宮金次郎さんの銅像が読んでいる本がこれなのだとか。 中身はまあどうってこともない。読みながら、手書きからワープロに変わって、大著が増えたという話を思い出した。理由は勘違いから来ているのだが。
 手書きからワープロへといわれると、ペンからキーボードへというイメージを持ちがちだけれども、紙からデジタルデータへの変更の方がより重要なファクターなんだろう、きっと。と考えたのは、紙以前、中国の思想家は自分の著作をリアカーで運ばなければならなかった、という話を思い出したからで、だったら長いものを書くのは、その後ずっと移動と収納の問題を残すことになり、紙の誕生は持ち運びの便利さや保存スペースを革命的に圧縮したんだよなあ、そうだったら、手書きからパソコンへって、むしろ原稿用紙の保存スペースを消滅させたことが重要なんじゃね? というような具合に考えたわけだけれども、何が勘違いだったって、連想の元である大学の薄さはもともと「礼期」の一編だったものが独立したためで、書かれたメディアの問題じゃなかったのだった。
 そもそも手書きからワープロになって、大著は本当に増えたのだろうか。嘘くさいと思えてならない。誰が具体的なデータ作ってくれないかな。