時刻表2万キロ (河出文庫 み 4-1)
宮脇 俊三
河出書房新社 1980-06
売り上げランキング : 55182
おすすめ平均
Amazonで詳しく見る by G-Tools
辻真先が小説の中でたびたび言及していた作品だったので、古本屋で見かけたときに買っておいた。今日初めてちょっと読んでみた。
親本は1978年刊行。
鉄道の「時刻表」にも愛読者はいる。
時刻表ほんらいの用途からすれば、愛読の対象となるべき書物ではないが、とにかくいる。しかも、その数は少なくないという。私もそのひとりである。
本書はノンフィクションであり、テーマは「国鉄全線完全乗車」。そのラスト十パーセント分が語られることになる。で実はまだ一章しか読んでいない。なんでそれなのに取り上げるのかと言えば、さっぱり分からなかったからである。何が? 地名が。
作者は淡々とした筆致で移動だけを、といっては言い過ぎなのだが少なくとも移動を中心として話を進める。それなのにどこからどこへがさっぱり分からなければ面白いはずもない。しかし何も分からなくてもなんだか愉快な気分になるのが不思議なわけだけど、せっかく愉快な気分になったのだから、すこし調べながら読めばますます楽しいかと思い、出てくる地名をウィキペディアで調べだしたら、なんだか電車の名前も気になってきて、それも調べてみたら統合やら名称変更やら廃止やらでよく分からず、意地になって検索し続けてみたら、今度はそれをただ見て閉じてとするのが勿体なくなってリストにしようと思い立ち、そうすると一冊分まとめて上げたら大変なことになるから一章読み終えるごとに取り上げることにしたというわけである。
そんなわけで第一章は富山へ向かうところから始まる。 最初に出てくるのは1975年九月二十三日上野発二十時五十一分の信越線回り福井行急行「越前*1」。入っているホームは十四番線。ここから帰宅までの二十六時間、作者は移動に移動を重ねていく。以下その大雑把なタイムテーブル。長いよ。
- 昭和五十年九月二十三日
- 20:51「越前」上野を定刻発車。
- 昭和五十年九月二十四日
- 02:25「越前」新井着。定刻。
- 04:50「越前」富山着。
- 05:09http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E7%B7%9A:title=高山本線]神岡行き急行、富山発。十五分遅れ。
- 05:59?菪谷着。十分遅れ*2。神岡線に入る。
- 06:30?神岡着*3。引き返す車両にそのまま乗り続けて再び菪谷へ向かう。
- 06:58勘違いで列車に乗り遅れ、富山へ戻ることに失敗する。(しかし作者は落ち込むわけでもなく、「高山本線菪谷駅。よい駅である。」と感想を述べる。この辺が非常に味わい深い。)
- 07:17高山本線富山行き各駅列車、菪谷発。定刻。
- 08:14高山本線富山行き各駅列車、富山着。三十秒程度の遅れ。タクシーで富山港線の岩瀬浜へ。三十一分発の普通列車富山行きを捕まえる計画。
- 08:28三十一分発の電車に間に合わないことを悟って、東岩瀬駅に降り、やってきた富山港線の富山行きに乗り込み富山へ。
- 09:00急行「立山1号*4」富山発。定刻。
- 09:14高岡着。氷見線に乗り換える。
- 09:20氷見線氷見行、高岡発。定刻。
- 09:47氷見線氷見行き氷見着。定刻。
- 09:51氷見線高岡行、氷見発。定刻。
- 10:18?氷見線高岡行、高岡着*5。
- 10:30米原行特急「加越3号」高岡発。定刻。
- 11:57「加越3号」福井着。(やっと午前中が終わった。)
- 12:20越美北線九頭竜湖行、福井発。定刻。
- 14:03越美北線九頭竜湖行、九頭竜湖着。定刻2分前。
- 14:10国鉄バス大野線*6美濃白鳥駅行、九頭竜湖発。定刻。
- 15:15長良川の橋のたもとのバス停で降車。
- 15:55越美南線上り列車、美濃白鳥発。定刻。途中高山本線の急行「のりくら5号」に併結され名古屋へ向かう。
- 19:03名古屋着。新幹線で東京へ。
*1:1965年10月〜1982年11月の間、上野駅〜福井駅間を運行した夜行急行列車(以後1993年3月まで臨時列車として存続し「能登」に吸収される)。「めぞん一刻」の響子と五代が北陸旅行に発つ際に乗車した夜行列車だったらしいhttp://www.ne.jp/asahi/maison/ikkoku/train/echizen.html
*2:時刻は現行時刻表http://ekikara.jp/newdata/detail/23010022/29.htmに基づく推測。
*3:時刻はhttp://www.freefactory.net/~y-sirais/tour30/tour30.htmlと「時刻表2万キロ」の記述からの推測。
*4:1985年に消滅。写真はこちら。http://hp1.cyberstation.ne.jp/shasou/kyoto/kyoto4.html
*5:時刻は推測。
*6:ウィキペディアジェイアール東海バスに基づく推測。