『アリスの国の殺人』

アリスの国の殺人 日本推理作家協会賞受賞作全集 (42)
辻 真先

4575658391
双葉社 1997-11
売り上げランキング : 121094

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ISBN:4575658391 by G-Tools

「アリスの国の殺人」(辻真先著)を読んだ。上で紹介しているのと版が違い、実際読んだのは徳間文庫http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4195691052/taidanakurashi-22/ref%3Dnosim/249-6995378-9602716
 ひどく読みにくい解説には「三重露出」との比較がなされていたが、むしろ「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(さりげなく修正しました)の方が近い気がする。被害者が随分しっかり書かれているが、本当にこんな情熱溢れる編集者が存在するのかは疑問。ハイカルチャー=大人の世界=小説とサブカルチャー=子供の世界=マンガの葛藤という構図が設定されていて、作者は当たり前のように後者に肩入れしている(被害者は後者の世界に属しており、主人公は前者の世界に属している。被害者の影響で主人公は前者から後者の世界へと価値観をシフトさせる)が、にも関わらず、不思議の国の密室殺人を解明するロジックは前者のものであるところに、後者だけでは自立した世界を構築しきれないという作者の考えを読み取ることも可能だろう。
 読後感じるやりきれなさ加減はかなり高い。ほとほと救いがない。ではあるものの、是非とも「ロジャー・ラビット」みたいな形で映画化してもらいたい。版権の問題が難しそうだけれども、ヒゲオヤジと鉄人とニャロメの競演が見てみたい。
 それにしても本当にひどいラストだった。いや面白いんだけどさ。でももうちょっとどうにかならなかったのか。

アリスの国の殺人1981/04
ミステリー。1982年日本推理作家協会賞受賞作品。蟻巣シリーズ。
大和書房夢の図書館シリーズ。1986年3月DAIWANOVELS。1990年6月徳間文庫(解説新保博久)。1997年11月双葉文庫日本推理作家協会賞受賞作全集(42)(解説香山二三郎

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