大袈裟の反対語

「大袈裟の反対語」というキーワードでやってきた人がいた。
 カテゴリーに偽りありで、実際には回答できないんだが、ちょっと考えてみることにする。まず定義を大辞林で見てみると、

( 名 ・ 形動 ) [文語形] ナリ
(1) 実際より誇張している・こと(さま)。おおぎょう。 「 ─ に言う」
(2) 必要以上に仕掛けの大きい・こと(さま)。 「 ─ な飾り」
■2■ ( 名 )
(1) 大きい袈裟。おおけさ。
(2) 大きく袈裟がけに斬ること。 「抜き打に肩先より背骨まで ─ に切放せば /浄・夏祭 」

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 こんな感じ。このうち形容動詞の大袈裟なり(現代語だと「大袈裟だ」)の反対語というのが問題なのだと思う。というのも名詞の方は坊さんの着る袈裟のデカいやつのことなので、反対語があるような気がしないからだ。
 で、見てみると(1)が連用修飾語で(2)が連体修飾語になっている。共通するのは「誇張」、「必要以上」という部分に見られるマイナスのイメージ。普通「大袈裟」というフレーズを使うときには「適切さを逸脱して大きく」という程度の意味があるように思われる。となると、求められるのは「適切さを逸脱して小さく」という意味の言葉である。
 なんだろ。
 と考えつつ検索してみたら、はてな匿名ダイアリーにこんな記事が。

さりげない親切にあからさまな評価は似合わないが、感謝の意は大袈裟に伝達するのがよいといわれるし、では、感謝の意を表するための親切だとしても、気取られないほうがいいのか、それとも?

ばれないような気配りに対する評価も、やっぱりばれないようにするのが美学?

美学とモヤモヤ

 おお、さりげなく! 「大袈裟に」の反対は「さりげなく」ではないか? 問題は検索してきた人がこのさりげなくにマイナスイメージをつけたい場合で、そのときはさりげなくよりも「素っ気ない」や「すげない」が良いように思う。どちらも期待値にくらべて感情が足りないという意味になる気がする。で、たとえば「大袈裟に痛がる」みたいな場合だといま出した例は使えない。その場合には「平然としている」「超然としている」みたいな表現になるんじゃないかなあ。オーバーアクションとポーカーフェイスみたいな関係で。
 次に「大袈裟な」の場合。これも「さりげない」は使えそう。もし飾りじゃなくてお話が見せ方の演出が足りないなら「ケレンが足りない」ってことになるだろうし、「地味」って言い方も使えるかもしれない。
「いやおまえ馬鹿か。大袈裟の反対語は一語できっちりあるぞ」って方、いらっしゃいましたらトラックバック、もしくはメールで教えてください。