C. S. Lewis The Voyage of the Dawn Treader

The Voyage of the Dawn Treader (Chronicles of Narnia)
C. S. Lewis Pauline Baynes

0064471071
Harpercollins Childrens Books 1994-08
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 ナルニア国物語のペーパーバックは何種類もあるのだけど、俺は表紙のデザインが好きでこのシリーズを読んでいる。
 前作Prince CaspianPrince Caspian (The Chronicles of Narnia, Book 4)も良かったけど、本作も格好いい。
 邦訳タイトルは「朝びらき丸 東の海へ」ナルニア国ものがたりの第五巻(出版順では三巻)。
 エドムンドとルーシー、それにいとこのユースチス*1の三人が部屋に飾られた絵の中に吸い込まれると、そこは懐かしのナルニアの海だった。目の前にはカスピアンの率いる探検船ダウン・トレーダー(朝びらき丸はねーと思うぞ)が。船に拾われた三人はかつて東の海に消えていった七人を捜す旅に同道することになる。
 途中奴隷商人に捕まったりしつつあちこちの島から島へと渡り歩くのだが、もっとも楽しかったのは、9章「THE ISLAND OF THE VOICES」から11章「THE DUFFLEPUDS MADE HAPPY」。魔法で姿を消した連中の声だけが聞こえるという話なのだけども、ここに出てくる陽気な連中のコーラス(何を言っても「そうだそうだ! がんばれがんばれ!」と全員が応援してくれる)と、魔法使いの家に置かれた妙な格好の鏡のアイディアなんかは作者が本当に楽しそうに書いていて、こちらまでうきうきしてくる。Duffer*2という名の種族だった連中は、魔法使いに姿を変えられて、あまりにも自分たちが醜いと思って、姿を消す魔法を自らにかけた。それをルーシーが解いたら、キュートな一本足じゃないのっつー話で、元の姿に戻りたい彼等の意向は無視される。だってそのまんまで可愛いものという傲慢きわまりない理由で。名前もDufferからMonopod*3に変えられちゃって、超可愛そうと思ったのだけども、

ダッファーたちはモノポッドという新しい名前を大層気に入った。彼等はその名前を格調高いと思った。ただ、彼らはどうしてもそれを正しく憶えられなかった。
(中略)
彼らはすぐにモノポッドという名前をそれまでのダッファーという名前とゴチャ混ぜャにしてしまい、とうとう自分たちをダッフルプッドと呼ぶようになってしまった。そしておそらく何世紀にも渡って、彼らの名前はそのままであるだろう。

 これってもしかしてクレオールなんじゃね? なかなか油断ならない。名前はなんでもいいが、こいつらの無邪気な応援の激しさはほほえましかった。
 もうひとりほほえましかったのが、騎士道精神の塊みたいな鼠リーピチープ。周りのみんなが尻込みしそうになると、必ずや果敢な全身を呼びかけずにはいないこの鼠。あきらかにトラブルメーカーなんだが、あんまりにも一本気でちょっと格好いい。まわりにいたら迷惑だけども、こんな奴を迷惑に思わずに眺められるのも、物語の楽しみだ。

 あと二冊で全部終わるんだけど、のんびり読んでいたので、全体の筋はあんまり憶えていないんだなということをエドムンドとユースチスの会話で気づかされた。そういやエドムンドって○○○○だったんだよな。忘れてたよ。

*1:人物名表記はウィキペディアにしたがった。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E3%81%B3%E3%82%89%E3%81%8D%E4%B8%B8_%E6%9D%B1%E3%81%AE%E6%B5%B7%E3%81%B8

*2:まぬけとか愚か者というような意味

*3:一本足という意味