自称愛国者が今日ヘイトスピーチをばらまく呼びかけをしていることに思う

 こんな記事を読んだ。
告知 : 【告知拡散奨励】 4・11蕨市大規模抗議デモ開催!
 この団体はこの記事の団体だ。
「日本から叩き出す」と気勢 「在日特権許さない市民の会」ら入管前でカルデロン一家を狙い抗議行動
 上のデモを知ったのは、【緊急】外国人排斥デモに反対する緊急行動のお知らせ - 訳者あとがきβ版(やくしゃ あとがき べーたばん)という記事。この記事によると、在特会のデモは、のりこさんの通っていた小学校、そして現在通っている中学校*1の前をわざわざデモコースに入れているそうである。デモの許可した行政は何を考えているのかと申し上げたい。蕨市議会はカルデロン一家の件では、そろっての在留特別許可を求める意見書を全会一致で可決した。同じ市がこんな糞みたいな(個人的な評価ね!)デモに許可を与えるってのは、どういうことなのか不思議だ。まあ議会関係ないところが判断するんだろうけどさ。

 ところで、一昨日こんな記事も読んだ。
元詐欺師・逮捕歴有りの新風のオヤジが在日韓国人青年に喧嘩売る→ぶっ倒され泣き言(笑) - dj19の日記

 そこで紹介されていた動画がこれ。

 おそらく明日もこれに近い暴言がマイクを通してばらまかれるんだろう*2


 嫌すぎるのは、この手のヘイト・スピーチ大好きな輩が掲げるのが思想・表現の自由であるところだ。動画の弁士? も、白々しく「言論の自由」とか言っている。この屁理屈は本当にたちが悪い。たしかに言論の自由は保障されなくてはならない。そしてそれに制限を加える行為を認めるなら、どこまでエスカレートするかはわからない。批判か中傷(この件に関しての個人的見解は、こんなもん思想じゃねえし、他人を侮辱したい以上の何もないこれは「表現」の名に値しないと考えるけれども)かの判断基準を設けることはかなり難しくて、誰かを黙らせるときには、相当な限定をかける必要がある。上のような言説はそこにもたれた強弁な訳だ(本当はもっと感情的な単語を使いたいんだけど、抑えてみた)。


 これがとんでもに乗っちゃったとか、無知だったのでつい、とかと根本的に違うのは、上の団体がうっかりでもなんでもなく、ただのレイシストでためにするヘイト・スピーチを行うという動機を有しているところだろう。俺の目には、彼らの愛国はヘイト・スピーチをする大義名分でしかないように見える。


 それをたちが悪いと思うのは、前者は反論や批判によって、考えを変える可能性が残るのに対して、後者は法律制定でもして規制するしか罵詈雑言を止めさせる方法がないというところにある。しかし法律を作ったら、それがどう運用されるのかという問題が出てくる(この運用という点で、俺は人権擁護法には賛成できない。やっぱり怖い)。なんつーかジレンマだ。


 ところで、もちろん上の○○(←思いついた悪口を入れてみてください)をもって、右翼だの愛国者だのが全部同類なんて風には思わない(もしそうだったら本当にビックリ)んだけど、こういう国旗掲げて弱い者イジメみたいな行動に対して、なんとも思わないでいられる愛国者のみなさまは、この手の活動を国辱だとは受け止めないのだろうか。仮にも今日は今上陛下のご成婚50周年に当たるわけですが、こちらの愛国ブログなんかはその日付の記事で、排外行動の呼びかけとかしてるわけですよ。それって天皇家崇める人にとってはありなのか? と俺は思わないではいられない。

 それともそんな行いでさえも、「愛国心」から出たら愛国無罪になるわけか? ヘイト・スピーチをばらまいて、それをネットで配信するなんて行為が? それは海外の人間に「こんな人間たちが大好きなもの=天皇家」ってイメージを配信することに他ならないと俺には思われるんだけれども。


 思うところを正直に述べるなら、それは天皇家の人々が可哀想だ。もっと言うならあんまりにも理不尽だ。


 俺は取り立てて天皇家に忠誠誓うだの、彼らなしには日本は成り立たないだの思う人間ではないが、国の象徴なんてものを背負って生きるのが、余人には分からない苦労と重圧を抱え込むであろうことくらいは推測できる。そして他の論点はともかくとして、その一点だけは、やはり凄い人たちだと思っている。その人たちが、自らをあがめ奉っていると自称する人間の行うこのような行動に対して、喜ぶとは到底考えられないし、そのような人々の御輿になることも嬉しいことではないんじゃないかと思う。


 俺は愛国者の人々に訴えたい。こんなもんに日の丸を使わせるな。ヘイト・スピーチの正当化に「日本」を使わせるな。何かを好きであることを証明するのに、何かを嫌う必要なんてないんだ。この手の似非愛国者の呼びかけに乗らない愛国者、もっと言えばこんな愚行を批判できる愛国者こそ、その言葉に値する人間であると俺は考える。そうでないなら、それこそ愛される国が可哀想というものだ。


 ……あんまりまとまらなかったのは、手持ちのデータと考えがが足りないせいだろうけど、ひとまずこのままアップすることにする。人によっては俺の意見が偏っていると思うかもしれないが、在日外国人の話題に関しては自分は公正中立なんてものを掲げていないので、偏っているのは当たり前なのでよろしく。

追記:いただいたブコメを読んで思ったこと。
 この手の動きをスルーする/しないという選択肢で考えるなら、自分は後者を選ぶ(からこのエントリを書いた)。けれどもスルーしない=デモに行くであるのか、と言われるとそこに疑問符を付けざるを得ない。メタブクマの指摘にあるように、「デモを阻止するためのデモを強行して衝突→トラブル」という展開は結局、罵られる方を追いつめることになるだろうからだ。「左の人達の煽りに乗って騒ぐのも」という指摘はスルーしない=デモみたいな批判方法のテンプレを採用することへの違和感だと自分は読んだ。それは凄く正しい違和感だと思われる。


 自分が言いたかったことは、愛国って言葉を出してくるって理由だけで、こんな愚行をスルーするのは、右の人たちにとっても良いことじゃないだろって話*3で、だから上の記事が「反対のデモに参加しよう!」って読めるのだとしたら、俺の表現力に問題があるんだと思われる。我ながらあんまりまとまっていないし。
 「愚行を批判」ってところに批判の方法まで指定しているわけではないと読んでもらえるとありがたい。

 それから、明日カウンターのデモに参加する人たちが冷静に行動してくれることを望む。小競り合いでも起こった場合、それはデモを組織した理由(罵られる人を守れってことなんだろうと俺は理解している)を放り出していることになってしまうわけだから。

 なんも起こりませんでした。そもそも人が集まりませんでした終了って展開だと良いな。

*1:8日から新学期が始まったという記事を読んだ。

*2:4/14追記:neko16kさんのブコメでビデオ削除を知った。

*3:本当は表現の自由についても考えようと思ったんだけど、そっちはまとまらなかった。