D・M・ディヴァイン山田蘭訳『三本の緑の小壜』

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)
D・M・ディヴァイン 山田 蘭

4488240089
東京創元社 2011-10-28
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 まずあらすじ。

英国北部のごく平凡な町で、13歳の少女ジャニスが姿を消した。捜索もむなしく、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。なぜほかの少女ではなく、ジャニスだけが毒牙にかかったのか? 殺人鬼はこの町のどこに潜んでいるのか? 町の診療所に勤める若き医師ケンダルが有力容疑者として浮上するが……。『厄災の紳士』『ウォリス家の殺人』などで各ミステリ・ベスト10を席巻した本格ミステリの巧手、期待の訳しおろし作!

 長編ミステリーらしい長編ミステリー(定義は不明)が読みたいと思ったときにほぼ自動的に「じゃあディヴァイン読もう」って答えが出てきたのでアマゾンでポチって読んだ。
 ディヴァイン読んだのはこれで5冊目なんだけども、いつも安定して面白い。いや、ほんとに、変な派手さとかどぎつさとかないのに、しっかり「どうなるんだろう」と思わせて、場面場面もちゃんと機能してて素晴らしいという印象。
 今回は全5部立てで、各部ごとに視点人物が違う(語り手3人)のだけど、ちゃんと視点人物ごとに人物評とか違っていてそれも好ましかった。
 犯人の動機が「おいおい、ここが使われたら、おれの大嫌いなあの作品と同じじゃないか」と危惧したとこどんぴしゃりだったのだけど、ほかの部分との兼ね合いが違っていたので、それほど引っかからず、モチーフというのは料理の仕方次第で印象が変わるんだなあということを知った。
 この人、デビューしたときにクリスティーが褒めたらしいのに、いまいち話題にならないというか、言及されることが少ない気がするんだけども、もっと読まれていい作家なんじゃないかと思われてならない。書きぶりとか、スマートに書くとはこういうことだ(別の作家のキャッチコピーだけど)って感じがする。次は何を読もうかな。