スズメバチのウーチャン動画

 こんなツイートが流れてきて、世界観変わったんじゃねえかってレベルで驚いた。


 ガキの頃に見た『みつばちマーヤ』とか『みなしごハッチ』の刷り込みで、スズメバチってこの世の生き物のなかでも1、2を争うくらいおっかないと思ってきたのもあり、見ただけで身体が固まってしまう昆虫はゴキブリとスズメバチのふたつだけってくらいスズメバチは苦手だ。
 だからツイートの「スズメバチきらいな人にも見て欲しい」って文を読んでも、動画の主役がスズメバチだとは思わなかった。「大好き!」って書いてあったからだ。
 で、再生したらスズメバチだよ。スズメバチなんだけど、なんか……なんか、おれの知ってるあの恐ろしい昆虫と感じが違うよ。人の手にちょこんと乗ってるし、指からごはん食べてるし(美味しそうに食事してるように見えるんだ。もうこの時点でまさかって感じ)、人の手の中で寝てるし。ほかの個体と馴染めなかったってキャプション出たところで、「ちょっと気が弱かったのかな」とか考えちゃうくらいなんか親しみわくよ、この子。
 なんだろうと思ったら、身体こすったり外眺めたりしてる雰囲気が猫っぽいのね(動画を通して見る限り)。ちなみに猫は生き物のなかで1、2を争うくらい好き。で、なんか頭のなかで猫と結びついたからなのか、動画の後半はもうどのショットもすげえかわいい。しぐさの一個一個がかわいく見えるし、表情さえあるような気がしてきた。
 それだけに、ラストの永眠ってキャプションが出るところは毎回泣きそうになる(なんとリピート再生してるんだよ、もうびっくり)。まさかスズメバチにこんなに感情移入できる日が来るとは、この動画を見るまで想像すらしていなかった。っていうか、考えてみたら昆虫が人に懐くなんてこと想像したことなかったよ。ましてスズメバチにおいてをやだよ。
 知識に裏打ちされた愛情ってのはすげえ可能性を切り拓くんだな。BGMのせいなのかなんなのか、ほんとに幸せな気持ちになるの、動いてるウーチャン見てると。こんなに懐くんならおれも飼ってみたいとか思うレベルで。いや、実行するのは無理だし、知識なしにそんなことしたら大変なことになるのはわかってるんだけどさ。それだけにこの動画は貴重だと思う。こんな知らない世界があったんだな。とんでもなくいいものを見た。
 そんなわけでおれは今、会ったこともないスズメバチを悼む気持ちになっている。ウーチャン、安らかに。

追記:2019/02/04

 この動画でスズメバチへの興味が目覚めたので、とりあえず図書館に入っていた『おどろくべきスズメバチ』を読んでみた。(感想はこちらLife MUST Go on: 中村雅雄 『おどろきのスズメバチ』

関連書籍