プリーストリー 安藤貞雄 訳 夜の来訪者

夜の来訪者 (岩波文庫 赤 294-1)
プリーストリー 安藤 貞雄

400322941X
岩波書店 2007-02asin:400322941X

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 イギリスの劇作家プリーストリーの代表作。ウィキペディアにも項目が立っていないみたいなので、ひとまず解説からプロフィールを引き写してみると、1894年9月13日、西ヨークシャーのブラッドフォードに生まれ、1910年に、ブラッドフォード・グラマースクールを卒業。羊毛会社に勤務する傍ら、新聞に記事を投稿。第一次世界大戦ケンブリッジ大学、トリニティ・ホールに入学。1921年に卒業。1922年ロンドンに出てから、エッセイスト・評論家として認められた。
 その一方で小説も書き始め、「友達座」(1929)、「天使の舗道」(1930)などが当たって、世界的な作家になる。30年代から40年代にかけて戯曲を約五十本書いた。本作はその中でももっとも有名なものである。最終的に著作活動は七十年続き、生涯で百二十冊以上の本を書いた。1984年8月14日没。
 で、代表作とされる本作が初演されたのは、1946年の十月1954年にはガイ・ハミルトン監督による映画化もあったとか。
 あらすじはこんな感じ。

 舞台は裕福な実業化の家庭、娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れて、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、全員がそのことに深く関わっていることを暴いてゆく……。

 これだけ見ると、なんだか詰まらない気がする。どうせ、登場人物の男の誰かと昔出来ていたとか、なんとかそんな話がバレるんでしょ、と思えてならないし、裕福な家庭vs貧乏な女であれば、金持ちなんて糞だ! ってことが書かれるんでしょ、というような予想も立つ。もちろん、そういう展開もあるのだけど、この話はそこで終わらない。
 とてつもないミスリードと宙づり感。これは大したものだ。凄く面白かった。