グリン・カー堀内瑛司訳『黒い壁の秘密』

アバークロンビー・リューカーは『リチャード三世』の公演を終え、湖水地方の小村へ赴いた。風光明媚なこの地に近年ユースホステルができ、山や岩場へ出かける人たちに利用されているという。数か月前クライミング中に命を落とした若者の話を聞いているさなか、消息を絶った友人を捜してほしいと男女が駆け込んできた。捜索の甲斐なく遺体が見つかり、事故と処理されかけたものの、検屍審問を経て殺人を視野に入れた捜査が始まることに。第二次大戦下の諜報活動で培った探偵としての嗅覚が、登山家でもあるリューカーを駆り立てる。手掛かりの乏しい峻鋒の果てに見出された真相とは。

 とこんな話らしい。らしいとか言うと、「おまえ読んだのか」と問い詰められるのが当然で、じっさいまだ読んでない。読んでないものをエントリーにするのは非常に珍しいのであるが、今回は訳者が知りあいなので、応援がてらまずさっさと紹介することを選んでみた。今回刊行されたこの本を訳し始めたという話を聞いたのは、もう二年くらいまえではなかろうか。売れるといいなあ。

 なお、解説によると本書は

正統的な本格ミステリであると同時に、山岳ミステリというサブジャンルでくくることができる。(中略)本書の中には登山用語も頻出するが、筆者のようなごく初心者でも楽しめる内容になっているし、登山経験者であればよりいっそう楽しめるはずだ。演劇ミステリ、さらにはシェイクスピア・ミステリとしても一級品で、リューカーがしばしば口にするセリフや引用、『リチャード三世』から採った各章の見出しなど、演劇好きや英国びいきにはたまらない。

 ものになっているのだとか。
 これから読むのが楽しみだ。

黒い壁の秘密 (創元推理文庫)
グリン・カー 堀内 瑛司

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東京創元社 2013-04-20
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