『ブルートレイン北へ還る』

ブルートレイン北へ還る (徳間文庫)
辻 真先

4195677947
徳間書店 1985-02
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by G-Toolsisbn:4195677947
ブルートレイン北へ還る」を読んだ。トラベルライター瓜生慎シリーズ第二弾。前作「死体が私を追いかける(感想)」では童貞だった慎くん。今作では同棲しております。
 で、恋人の真由子@お金持ち令嬢のため、「バラ一つじゃ君を飾れないだろう贅沢になれてさ〜」と、「10$」を歌ったかどうかは定かではないものの、いっそう仕事をもっともっとハードに〜と取材に出かけたわけだけども、そこでまたまた死体に出くわしちゃって、しかも死体が消えちゃってさあ大変。
 一方、置いてけぼりの真由子ちゃん。自ら企画を「エレガンス」編集部へ売り込んで慎くんを追いかけます。が、真由子ちゃんの目の前ではアタッシュケースに入った札束が消えちゃった! 札束や死体が消えてしまったわけは? どうやら陰謀もあるらしいぞー。
 と言うようなお話。親本は1980年主婦と生活社から発行。文庫解説は種村直樹
 この前に読んだ「小説!? Dr.スランプ(感想)」を読んだときにも思ったことなんだけど、辻真先はドタバタシーンがあまり上手くないのかもしれない。イマイチ描写がまどろっこしい。この小説にも二カ所ほどドタバタシーンが出てくるのだけど、一番退屈を覚えた。
 それはともかくこの作品で抜群に良い設定だと思ったのは、ダイナマイトを隠し持って旅をする青年。もうちょっと活躍させてもらいたかった。いや真由子と慎の掛け合いもほのぼのとしていて、楽しいんだけども。
 ところでこの作品ではルパン三世の映画*1への言及がなされていて、おいおいターゲットが違うんじゃないか? と首をかしげてしまった。あ、でも作者の中ではヤングアダルト向けの作品なのかも知れないな。「村でいちばんの首吊りの木(感想)」に大人向けとして言及されていたのは、「アリスの国の殺人(感想)」と「ピーターパンの殺人」だけだったから。  

*1:書かれた時期を考えるなら「カリオストロの城」かなあ。神父に化けたルパンが花火を次々発射して敵の目をくらましたシーンがあったらしい。