マイルドセブンインパクトワンって

 昨日のこと。上野で友人と飯を食っていたら、皿の片付けだったか、水のお代わりをつぎにだかしてやってきた店員さんがいきなり「お客様」と声を掛けてきた。
 店はなんとなく高級感があって、そんなところで店員の方から声を掛けて来るとなると、最初に閃くのはなんか粗相をしたのではないかということだ。以前浅草ですき焼きを食べたときなどは、揃いも揃ってやり方がわからず、適当に喰ってお店の人に「あらあら、まったく」などと言われたりした。その記憶が甦ってきて、ドキドキ。
 しかし店員さんの次の言葉は、まるっきりノー・ガードな角度から飛び込んできた。
「つかぬことをお伺いいたしますが、そのマイルドセブンインパクトワンは、どれくらいのインパクトなのでしょうか?」
「そうですねえ、1mgの割にはなかなかしっかりした感じですよ」(はい? この会話はいったい何? ってか、俺むっちゃビビったのバレてない? バレてない?)
「前から気になっているんですよね、どれくらいのインパクトなんだろうって」
 しばし具体的なインパクトの印象を伝えようと試みるが、相手が何を吸っているかわからないと、なかなか説明もし辛く、
「なんでしたら一本差し上げましょうか?」(段々落ち着いてきた。うん、これは面白い体験だ。ありがとう店員さん。美味しい食事に楽しいおまけがついた気がするよ。お礼にこれもってって)
「えー、いいんですか」「どうぞどうぞ、お店の人に怒られないなら是非是非」「それは大丈夫です。じゃあありがとうざいます」
 と、店員さんは煙草を一本持って行った。
 帰りに「ごちそうさま」とお礼を言われた。吸ってみた結果がどうだったか聞き忘れた。
 なかなか印象深い夕食になった。