ウィキペディアによれば、消しゴムの歴史は十八世紀後半に始まる。
1770年、イギリスのジョゼフ・プリーストリーが、ブラジル産のゴムに紙に書いた鉛筆の字を消し去る性質があることを発見したのが消しゴムの始まりである。現在欧米では発見日とされる4月15日をRubber Eraser Dayなどとしている。1772年頃にはロンドンで市販されており、「こするもの(rub out)」と呼ばれた。これが、今日ゴム一般を意味する英単語ラバー(rubber)の語源である。
1959年、日本のシードゴム工業(現在の株式会社シード)がより消去性に優れたプラスチック字消しを開発した。以後、その性能から市場の主流となる。原材料としてゴムを使用したものは、後述の特殊用途の品を除き、今やほとんど使用されていない。
消しゴム - Wikipedia
で、シード社は消しゴム博物館というサイトを公開していて、そこにも消しゴムの歴史が概説されているが、それによれば、世界初の消しゴムが発売されたのはイギリス、ときはプリーストリー(実は酸素の発見者でもあるそうな*1)の発見から2年後の1772年。日本に登場したのはいつ頃かは明記されていないが、明治時代の義務教育制定との関連で需要が急増したと書かれているので、普及したのはイギリスに遅れること百年前後と考えられる*2。ヒノデワシ社の「〜消しゴムの歴史〜」では明治二十三(1890)年からだと書かれている。
国産消しゴムが作られるようになったのは、トンボのFAQによると、明治26年で、品質はあまり良くなく、「製図用消しゴムなどは輸入に頼っていました。昭和3年(1927年)に製図用消しゴム国産第1号がを完成されました」ということらしい。
で、そうなると気になるのは鉛筆で、これもまずウィキペディアに当たってみると、
黒鉛を使った鉛筆が最初に記述に現れるのは、1565年、スイスのドイツ系博物学者コンラート・ゲスナー(Konrad Gesner)の『とくに石と岩にふくまれる化石の形とイメージについて』である。ゲスナーが使用した鉛筆の本体は丸い筒状の木でできており、先端に黒鉛の小さな塊を詰めるものだった。黒鉛がなくなると新しいものを詰めた。本に記載するくらいには珍しかったようだが、記述によればゲスナー自身はしばらく前からこの道具を使っていた。野外で化石を記録する際、インクつぼの不要な鉛筆はゲスナーにとって大変に便利なものであった。
16世紀の終わりには、イギリスのボローデールでカンバーランド黒鉛鉱が発見され、鉛筆が作られるようになった。ゲスナーのものも、芯はカンバーランド産黒鉛である可能性が高い。1610年までには、ロンドンの市場で鉛筆は普通に売られていた。初期のものはゲスナーの使ったもののような、木や金属で作った軸の先に、黒鉛の塊を詰めるものだった。黒鉛を木ではさんだり、針金で巻いたようなものも実在した。
2枚の細長い木の板の間に、芯となる細長い黒鉛の棒をはさんで固定した、現代のように削って使用する鉛筆は、1616年までに発明された。
記録に残るこの種の鉛筆の最初の製造業者は、ドイツのニュルンベルクに住むフリードリッヒ・ステッドラー(Friedrich Staedtler、後のステッドラー社の創業者の先祖にあたる)で、1662年に町当局に鉛筆製造許可願いを出したが、町はこの仕事は指物師のものだとして却下した。しかし、1675年には、ステッドラーと同業者は、鉛筆製造業者のギルドを作ることが許されるようになっていた。
鉛筆 - Wikipedia
ということで、消しゴムよりも200年近く長い歴史を持っているようである。ちなみに日本に現存する最古の鉛筆は徳川家康(静岡県の神社に保存。十一センチ程度の長さ*3)、伊達政宗が使ったもの(長さ十四センチ程度、キャップ付き*4)であるのだとか。気になるのは、消しゴム以前の書き損じを消したのは小麦パンだったということで、正宗や家康はどうやって鉛筆の間違いを消していたのだろう。ひょっとして、失われた技術みたいなものが当時はあったのだろうか。さらにウィキペディアは国内の鉛筆普及の歴史も軽く触れてくれているので、それも引用。
日本で最初の鉛筆の量産は、1887年、東京の新宿で、真崎鉛筆製造所(現在の三菱鉛筆)創業者・真崎仁六(まさき にろく)によって開始された。なお、三菱財閥とこの会社は昔も今も全く関係がなく、「三菱マーク」は真崎鉛筆が最初に使用し、後から三菱財閥が許可をとり使用した。日本では長く文書を毛筆で書くしきたりがあり、鉛筆の普及は遅れた。1885年、英語教育に関する書籍が相次ぎ発刊され、同年、大量の鉛筆がアメリカから輸入された。この頃から学校では徐々に鉛筆が使われはじめるようになった。
1901年に、逓信省(現在の日本郵政公社)が真崎鉛筆を採用。郵便局内のみとはいえ、全国に鉛筆が供給されるようになった。この後1920年までに小学校で毛筆から鉛筆への切り替えが順次行われ、一般生活に深く浸透するようになったと考えられている
鉛筆 - Wikipedia
最後に、日本分析化学専門学校発 【すぐできる☆なるほど☆ザ☆化学実験】の記事を引用してこの項終わり。
■実験B−27 プラスチックが消しゴムに変身!の巻き
*1:http://www.tombow.com/kids/rekishi/rekishi_02.shtml参照。
*2:きっと物好きが取り寄せているので、最初の使用者は幕末にはいたんだろうと勝手に思った。