スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ8『Jim & Janeの伝説』から『Room』まで


チェッカーズの音楽とその時代
の読書メモ第8回。
前回。
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『Jim&Janeの伝説』ってタイトルは初めて聞いたとき、「何それ格好いい」って思ったんだよねえ。スージーさん的には生まれて初めて買ったシングルCDだったそうな。「今は亡き短冊形のメディア」って説明するなら88年の話なんだし、ついでにアダプターの話もすると、当時の文化っぽくないかとか思ったり。ハメたよね、外側に黒いゴムみたいの。数年後にはそのまま聴けるようになっていた気がするけど。マサハル作曲の曲なので、割としっかりメロディーの解説している。歌詞まで褒めてる。のだけど、

歌詞の内容も、バイクの事故で亡くなった男の彼女を、事故の現場に連れて行くというもので、これは「♪仲間がバイクで死んだのさ」という、デビュー曲《ギザギザハードの子守唄》への回帰でもある。

 それはいくらなんでも強引じゃないか?(笑)このまえの段落で「この曲であえて久留米のヤンキー時代に舞い戻る」なんて言ってるけど、この曲って普通に歌詞読んだら海外の話じゃない? それともJimもJaneもあだ名? ってか、歌詞に触れるんだったら『Prologue』って前日譚の曲に触ってもよさそうなもんなのに。あれがくっついて完成する世界っしょ、これ。あ、でも、なんとなくアメリカの話だと思ってたのはカップリング曲で「小さく見えるぜアメリカが」って言ってるせいかもしれないな。

次が『素直にI'm Sorry』。スージーさんは苦手な曲らしい。その割に、

この《素直にI'm Sorry》は、上記「カノン進行」メガヒットを中心とした、来たる「Jポップ」ブームを予見した曲だったとも言えるし、この曲の延長線上に、フミヤ93年のメガヒット(202万枚!)である《TRUE LOVE》(この曲の進行も「カノン進行」的)があるとも考えるのだ。

と、先駆性を評価してもいる。チェッカーズとの付き合い方は難しいな。

 個人的な思い出を語ると、この曲は初めてリアルタイムでチェッカーズと認識して聴いたチェッカーズの曲。小学校の六年生だった。そのまえの週くらいに友達から面白いから見ろと熱烈に勧められて歌番組なるものを初めて見た(たぶんトップテン)。で、暇つぶしにはいいくらいの感想だったので翌週も見ていて、この曲の紹介とともにチェッカーズが出てきたと記憶している。名前に聞き覚えはあったけど、随分昔(小学生の数年は中年の十数年くらいに相当する感覚なのだ)の人というイメージだったので、最初の印象は「まだいたんだ」だったのを覚えている。見たの初めてなのにまだいたんだもないものだ。で、フミヤは髪の毛を後ろで束ねていた。「うっとうしいので束ねました」とかそんなコメントをしていた。そのあっけらかんとした口調が最初の引っかかりだったかもしれない。「あ、それ、いいかも」と思った。全然髪長くなかったのに。なんかね、自由な大人って感じがしたんだよねえ。
 で、演奏が始まった。大人だから大人しい曲歌うんだなあ、くらいの感想しかなく、3位とか2位とかになんでこれが入るんだろう? と思った。最後そろってお辞儀するところとかも、ほかの若手ミュージシャンやアイドルと違った大人のたたずまいに見えた。社会現象だった当時を知らなかったおれには、チェッカーズは最初から大人として現れたのだった。踊らないし。この曲は数週間ランクに入っていたと思うけど、あんまりいい印象は持っていなかった。むしろランクから消えて、ちょっとまえのVTR化したときに、サビに入っていく寸前のタンタラッタ、タンタラッタ、タンタラッタンタンが耳に心地良いなあと思うようになった感じ。やべえ、この人たち格好いいって思ったのは、次の『Room』だった。平成最初のシングルだったとかは言われなきゃ気づかなかったけども。『Room』は好きだった。スージーさんも気に入っているのか、結構詳しく楽曲分析をやっている。
 けどさあ……と、好きな曲だけに思ってしまう。この曲ってそりゃメロディーもアレンジも歌詞もいいけど、いちばんキャッチーだったのって、Aメロから繰り返されるフミヤのマイクスタンド裁き(いや、裁いてるってほどでもないか、こう、ちょっとした間のところでマイクスタンドを少し傾けて、顔はマイクと逆を向くみたいな)じゃなかった? おれ、あの動きが大好きだったんだけど。ちょっとしたしぐさなのに、ムッチャ格好いいわ、何これ! って感じでさあ。うん、思い出してきた。あの動きにやられたんだ。12歳のぼく。
 って、確認すべく当時の映像探したら、夜ヒット出てきて、私のイメージする動きをやっていないんですけど、もしかして上に書いたことは記憶の捏造? そんな馬鹿な……。でもないとは言えないんだよなあ。歌詞の解釈も30年近く間違ってたしなあ。いや、この曲、歌詞も好きだわあってずっと思っていたんだけどね、一昨年くらいかなあ歌詞カード見直したら、「時が過ぎるのが怖い 君が遠く離れてく いつか涙は薄れてゆくのか」ってところの最後が文脈的にたぶん反語(いや薄れない)だということに気がついてしまって。それまでずっと「時が過ぎるのが怖い」→「君(の思い出)が遠く離れてく」→「いつか涙は薄れてゆくのか(この悲しみも消えてしまうのだろう)」というふうに解釈していたんだよねえ、Heart Break Roomなんてただの音だった(Roomしかわからなかった)から意味のつながり考えなかった。当時のぼくは「ああ、それはとても哀しいなあ」と思って、しみじみいい曲だと思っていたんだが、最初から反語に気がついていたら、あんなに気に入ったかどうか。勘違いにもいい勘違いがあるのだ、たぶん。
 ところで、当時から歌詞について一箇所引っ掛かっているところがあって、靴を履きかけてふと振り向いたときにあの日の薔薇が咲いてるってところ。引き払うときに窓辺の花瓶は置いていったの? 水入れたまま? でもって、なんで薔薇は復活したの? いつもここを聴くとET的なイメージが浮かぶんだけど、なんのメタファーなんだろう。花が色褪せて二度と愛は戻らないことを知ったっていうんだから、その花が咲いてるなら復縁におわせてるってことなのかなあ。謎である。ともあれ、これ以降、チェッカーズは自分にとって特別なバンドになったのだった。ここまで来るのに、こんなかかるとは思わなかった。

追記:読書メモ完結。全十三回。以下目次

スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ1 タイトルのメッセージを妄想してみた - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ2 『ギザギザ』から『星屑』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ3 『ジュリア』と『スキャンダル』あるいは「キラキラ」と「チャラチャラ」 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ4 『不良少年』から『HEART OF RAINBOW』 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ5『神様ヘルプ!』から第1期まとめまで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ6 NANA I Love you, SAYONARA - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ7『WANDERER』から『ONE NIGHT GIGOLO』(あるいはみなさんのおかげです)まで。 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ8『Jim & Janeの伝説』から『Room』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ9 『Cherie』と『Friends and Dream』 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ10 『運命』から『夜明けのブレス』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ11 『さよならをもう一度』と『Love'91』 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ12 『ミセスマーメイド』から『今夜の涙は最高』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ13最終回 - U´Å`U

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スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ7『WANDERER』から『ONE NIGHT GIGOLO』(あるいはみなさんのおかげです)まで。


チェッカーズの音楽とその時代
の読書メモ第7回。
前回。
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『WANDERER』はマサハルが作曲した初のシングル曲で、本書はこのくだりで『NANA』以降のシングル曲の作曲担当比率を挙げている。

・ナオユキ(藤井尚之):8曲(42%)
・マサハル(鶴久政治):7曲(37%)
・ユウジ(大土井裕二):2曲(11%)
トオル(武内亨):1曲(5%)
・「THE CHECKERS」名義:1曲(5%)

 トオル作曲のシングル曲って『ONE NIGHT GIGOLO』だけだったのか! と軽く驚いた。
 スージーさんのご意見はこう。

 比率的にはナオユキとマサハルが2トップとなっていて、微差でナオユキの方が高くなるが、作品の質に話を移すと個人的には、マサハル作品の方に軍配を上げたい。

 ただし、『WANDERER』は「まだ習作レベルというか、のちのマサハル作品に感じられる、異常にポップな輝きを感じることは出来ない。曲として、何だかギクシャクしている感じがするのだ。」と仰有っているが、このギクシャクした感じってのはAメロからBメロへ行くところのことだろうか、それだとすげえわかるわかるって思うんだけど。あれ? ってなるよね。「正月に曲出ししたときに保留にしといた曲が何曲かあって、そのうち2曲のいいとこだけを合体させた曲」というマサハル本人の弁が引用されていて、「ああ、そうだったのか」と納得した。

何よりタイトル『WANDERER』の意味がわからなかったという記憶がある。

 これもすげえわかる。最初wanderとwonderごっちゃにして不思議な人だと思ってた。正直、十代で聴いたときはあんまりいい印象を持っていなかった(オリコンの1位を取った最後の曲なんだけど、ほかの曲のほうが格好良くない? という印象が強かった)んだけども、2017-2018年カウントダウンで生で聴いたらよかった。
www.youtube.com

これの25:54くらいからのやつ。

で、話は『Blue Rain』へ。スージーさんは「チェッカーズお得意のロッカバラード」と書いてるんだけど、自分の印象はいつ聴いても「演歌」だったりする。声が遠いって印象もあったなあ。今はシングル全部列べて流しているから、『Blue Rain』もちょっと毛色が違うアクセントみたいな聴き方になって、それなりに気持ちよく聴けるんだけど、これをシングルにした狙いはよくわからなかったなあ。脱アイドル路線の暴走だろうか。

 そして、本書の全コメントのなかで最高傑作のウルトラCになっているのが次の『ONE NIGHT GIGOLO』。

 印象度だけで言えば、《I Love you, SAYONARA》と並んで、「第2期チェッカーズ」を代表する曲だと思う。

 って言ってるのに、曲の説明そっちのけで、この曲をネタにした『とんねるずのみなさんのおかげです』のコントの解説を丁寧にやって、

 チェッカーズとんねるずのリズム感がぴったりと合っている。そのリズム感が、同じく当時全盛期を迎えていた新宿河田町のフジテレビからの電波に乗って、日本中に響いている。そして、日本中の若者がそれを見て、笑い、歌い、乗っている。もちろん私も、その中のひとりだった。
 この曲のイントロから見えてくるのは、そんな1988年の風景である。

 ってしめちゃうんだもん。
 本書の感想でも書いたんだけど、このスタンスじゃなきゃこの曲の十全な理解はできないので、この一見職場放棄的な展開は愚直でけれんのないアプローチだと思う。ただ、どうせ曲から離れるなら、サビのところでボーカル三人がさりげなーくステップ揃えてるとことかも言及してほしかった。そういえば、『涙のリクエスト』にしても『哀しくてジェラシー』にしても歌ってるときの振りには全然言及がなかったな。『ジェラシー』の「おっとことおんなはすーれーちがーいー」のとこのあれとか、おれの同級生とかでも覚えてるくらいの印象があったんだけど。
 ちなみに私、トップテンだかベストテンだかで初めてチェッカーズの実物を見た際、歌前のトークで「フミヤの髪型変遷史」みたいのが流れ、その最後にこの曲のサビの最後「♪孤独を消してくれ~~」ってとこだけ見て、「何この曲格好いい」と一目惚れをしたのでした。シングル買い出したときに「あの曲これかなあ」(当時はyoutubeがなかったのよ)と、再生しては外すこと数度、とうとう辿り着いたときには「まさかみなさんのあれだったとは」と少々複雑な気持ちになりました。大好きな曲です、はい。上に貼ったカウントダウンで生で聴いたときには感激しました。そして、会場の皆様のこの曲大好きさ爆発した一糸乱れぬ合いの手なんかにも感激しました。2018-2019もサックスの音が鳴り響いたところで「来たあああー」となったんだけど、そこに憲さんあらわれて、まさかのコント再現となり、「これが生で見られる日が来るとは想像してなかった」と思いつつも、「え、歌わないの?」と少ししょんぼりしたのもまだまだ記憶に新しいままです。

追記:読書メモ完結。全十三回。以下目次

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スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ6 NANA I Love you, SAYONARA


チェッカーズの音楽とその時代
の読書メモ第6回。
前回。
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第二期に入った。『NANA』に対するスージーさんの印象ってかなり悪いのね。今までの照れ隠しかおいおいみたいなツッコミを入れる余地が残ってない感じ。アイドル時代の第一期がよっぽど好きだったんだろうなあとか思った。引用してる歌詞も助詞間違えてるし……。

チェック柄のコスチュームを脱ぎ捨てた7人は、夢の世界から西麻布という現実に降り立ち、芸能人と飲んだくれ、戯れる男たちとなったのである。

 あの歌詞でそこまで想像できるのかとびっくりした。リアルタイムだとこんなふうに見えるものだったんだろうか。いや実を言うと「メンバーの喜びが、ビンビンと伝わってくる曲である」ってところから、印象が違うんだよね、音源初めて聴いたとき、喜びより気迫を感じた身としては。高校生くらいのときは「脱アイドルへの気迫」みたいに解釈してたけども、今考えれば「コケたら終わり」な背水の陣で出てきた音だったように思う。でもってサビの「未来に感じ濡れてくれ」とか「過去を引き裂け」とかも、『True Love』がファンへのメッセージなら、やっぱりファンへのメッセージだったんじゃないのかね。「思い出へ流れてゆく涙はおれのこの手じゃふけない」けども、どうか新しい自分たちについてきてほしいっていう。
 あら、今反射的に思いついただけだったのに、これだとNANA=スージーさんみたいに路線変更を残念に思っていたファンじゃんね。やっぱりもうちょっと『NANA』には優しい眼差しを注いであげた方がよかったんじゃなかろうか。そんなこと言うぼくはもちろん『NANA』好きです。いちばんよかったのはチェッカーズじゃなくなるけど2017-2018のカウントダウンライブのときの演奏。前奏のジャーン、ジャッジャーン、ジャッジャーン、チャーン、で会場揃って「ハッ!」のあと、一瞬謎の無音。その一瞬で戸惑いがさざなみのように広がったのを待っての演奏再開っていう流れがあって楽しかった。

追記:ここも映像紹介すればいいじゃんね、と気がついたので2017-2018カウントダウンの公式動画貼る(公式があるってありがたい)。
www.youtube.com

これの29:50くらいから。一瞬、シンとなってるの、わかります? 演奏再開のところで、音拾われてないと思うんだけど、客席から軽く笑いが聞こえて(ひとりとかふたりとかじゃなくて)、なんつーか、ファンとフミヤの高度なコミュニケーション見せられた感じがとてもよかった。こんな短い間を空けるだけでちょっとひねったぞ(笑)みたいなのを双方感じてるのにただただ感心したのだった。そして、ゲットダウン(っていうとどっかで耳にしたのでこの呼び名で。そうじゃないとなんて言ったらいいのかわからないので)したまま床が沈んで消えるって曲の締め方も非常によかったというか、予想してなかったので「おおおー」ってなった。

追記終わり。

 で、『NANA』を下げた反動か次の『I Love you,SAYONARA』は珍しくストレートに褒められている。『ジュリア』『POPSTAR』に続いて3曲目かな。世界観がいいのだそうな。

 チェッカーズとそのスタッフのクレバーさはこのあたりにある。
 つまり、《NANA》と《I Love you,SAYONARA》の、このような世界観の違いを、(おそらく)意識的・戦略的に打ち出していることのバランスを取るクレバーさ。マンネリズムを回避する、このようなクレバーさがあって初めて、「解散まで本格的な低迷期を迎えなかった希有なバンド」になれたのだと思う。
 作曲は、当時のチェッカーズにおける音楽的キーパーソンだったユウジ。やたらとキャッチーなサビも含め、コンテンポラリーでかつ「売れる音」になっている。

 どうせなら、イントロのサックスの気持ちよさにも言及してほしかった。最初のあれと、「♪きーらいと言ーうしーかー」のまえのジャジャジャジャージャジャジャがいいと思うんだけど。まあ、「含め」だから全部入ってるってことでしょうけど。英語版もあるんだよね。歌詞覚えてないけど。そっちもなんかいい具合だった。好きな演奏はフミヤがソロになったあとのNHKホールかどっかのライブ。ユウジがゲストで来てたやつ。なんかとても楽しそうに歌ってた。WHITE PARTYのアンコールの『ジュリアに傷心』もそうだけど、ちょっと「懐かしの」って文脈入ると楽しそうに歌うんだよねえ、フミヤって。

追記:ところでスージーさんは『I Love you, SAYONARA』を褒めるにあたって、

登場する女性も、「バージンのように怯え」る「NANA」ちゃんに対して、こちらは、自分の意志で男性と別れ、新宿の「ネオンへ消え」ていく凜とした女性という感じがして、好感が持てる。

と仰有っているんだけども、歌詞から考えて別れを切り出したのは男じゃないかという気がするんだよね。だから「嫌いと言うしかなかったよ Baby 馬鹿だね男って」なんじゃないのかなあ。
 で、これはさっき思いついたことなんだけども、『I Love you, SAYONARA』には傷だらけの結婚指輪が出てくる。ということはたぶん、歌詞世界の男女のサヨナラの意味は離婚である。そして、『NANA』には「薬指に今も残る跡」ってのが出てくる。これも恐らく指輪のあとである。ということは、この二曲、主人公の男を別人と考えれば、ヒロインは同一人物であってもいいはずだ。生活苦か何かから男から「I love you, SAYONARA」と言われた女性がほかの男に言い寄られるけど、まだ元の旦那を忘れきれず云々っていう態度に言い寄った男が「知らない頃のおまえにジェラシー」みたいなストーリー。
 リリースの順番と時間軸が逆だというのはわかっているんだけど、『Jim & Janeの伝説』が出たあとで『Prologue』が語られたみたいに、『NANA』の詩を書いたあとフミヤの頭に「NANAと前男にどんな物語があったんだろう」ってな疑問から前日譚が生まれたみたいなことはなかったのかなあと(おれが知らないだけですでに語られている話、もしくは語られていないのだから、そんなつながりはないのどっちかが正解なのは重々承知ですが、思いついたらなんか妙に説得力があったので書き留めておきます)
あと、もし、上記のNANAがファンへのメッセージって解釈がありなら、売上減を見たあとで作られたI Love you,SAYONARAというタイトルには去りゆくファンへの惜別のメッセージが込められていたという解釈も成り立ちそうな気がふとした。すべて妄想でしょうけど。

追記:読書メモ完結。全十三回。以下目次

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スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ5『神様ヘルプ!』から第1期まとめまで


チェッカーズの音楽とその時代
の読書メモ第5回。
前回。
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今回、『神様ヘルプ!』からなんだけど、この曲、スージーさんに言わせると、「ネオGSとしてのチェッカーズ」を最も体現した曲らしい。

 今回は「パロディバンド」としてのチェッカーズを考えてみたい。「パロディバンド」と言ってしまうと、日本では「コミックバンド」のような響きを持ってしまうが、ここで言う「パロディバンド」とは「過去の音楽家や音楽スタイルを、批評的に模倣するバンド」という意味である。

 で『神様ヘルプ!』がパロディにしているのはグループサウンズだと。タイトルからザ・テンプターズの『神様お願い!』を連想すると。まあ、そりゃそうだね。ところで、『神様お願い!』って90年代にどっかのバンドがシングルにしてなかったっけ? 本書はKUWATA BANDの名前が出ていて、ウィキペディアにもいくつか名前が載っていたんだけど、どれもピンと来ない。なんて言ったっけなあ、あの人たち。そのバージョンでしか聴いたことがないから声は結構しっかり再生されるんだけど。
 まあいいや。『神様ヘルプ!』に話を戻すと、イントロ格好いいよね。パパパ、パパパ、パパパパ~~、ズズズズズズ、ジャジャーンみたいな流れが。でもって「ふたりシャナナでハートブレイク」のシャナナが今でもよくわからない。ところで、

最後に余談。フミヤの「おばさんパーマ」は、彼の「髪型史」の中で、私が最もかっこいいと思うものである(異論は認める)。

このおばちゃんパーマが
www.youtube.com
これのことなら、割と頷いてしまう。あとドーム公演あたりの頭とだいぶあとのほうのウニみたいな頭も好きだったなあ。ソロになってからで印象強いのは天使の羽みたいな頭かなあ。センチュリー・カウントダウンのときの髪型もおばちゃんパーマ系だったけど、あれもかっこいいと思った。

 さて次は『OH! POPSTAR』。すごい珍しい曲だ。何がってスージーさんの感想が。

私の率直な感情を伝えれば「好き!」。少なくとも、ここまでのシングルの中では一番好きだ。

 オリコン連続一位を逃した曲だからか、すげえ素直に好きって言っててびっくりするじゃねえか。これは先にライブ映像見て「カッケー」ってなったんだけど、その印象が強かったからか、音源聴いたときに「遅い」って印象が先に立った。あと、観たライブ映像とキーも違っていたんじゃないかという気もする。なんか緑色と黒と狐の尻尾みたいなふわふわしたものの印象が残る衣裳だった。あの演奏はとってもよかった。しかしようやくスージーさんの言うことにうんうんと頷けて嬉しい。良い曲ですよ、これ。なんだけどさ、

「屋根裏の部屋」に2人で暮らしていた。そして自分(のちのポップスター)が「ギター弾ける仕事見つけた」までは良かったが、売れていく中で、彼女とは疎遠になっていく。シビれるのは、ポップスターに成り上がった自分が写っている街角のポスターを、その彼女がブーツの先で蹴って破るシーンだ。そして自分は歌う――「♪誰のために歌えばいいの?」

 つまりはこの歌詞、チェッカーズ自身の経験に基づいて書かれている「ような」感じで作られているのである。「ポップスターのメタ世界」という発明。この瞬間に、ここまでしつこく書いてきた「久留米のヤンキー性」と商業主義が、見事に融合するのである。

 の前半部は2番の歌詞冒頭「街角の壁に笑う俺のポスター見かけるたびにブーツの先で破って泣いたよ」を踏まえてるんだけど、ポスター破ったの、彼女だったの? おれは「俺」だと思ってた。で次の「星に手が届きそうな部屋でいつしか二人の愛も粉雪みたく川面に溶けたね」がカットバックで入ってくるイメージだった。ほかにそう言ってる人見当たらないから、おれの勘違いだったみたいなんだけど、一番で上昇気流なのに二番冒頭から自分のポスター蹴って泣いてる→内面に入って別れの場面みたいな流れの方が映像綺麗だと思うんだけどなあ。そして、最後の段落はすげえ余計だと思ったのだった、ちゃら~ん
 で、次がいまだにタイトルの意味がよくわからない『Song For U.S.A』。これは聴いてるうちに「フミヤいい声だなあ」って思ったのを覚えている曲。最初の五曲はメロディーとか音作りがキャッチーで気持ちよかったんだけど、これは声がいいと思った。同名の映画もあって深夜放送録画して見た。今となっては藤井尚之浅野温子のまわりをご機嫌なステップでまわるみたいな場面とマイルスってミュージシャンが交通事故で死んじゃう場面の「マイルス!」ってフミヤの叫び声しか覚えてないんだけどさ。
 で、スージーさん、ここで曲の解説全部放棄して(タイトルの由来解説を期待していたのに)ここまでのチェッカーズの総合的な功績についてまとめはじめる。2は自分たちの立ち位置に批評的だったと考えるならそうだねと思う。3もたぶんそうなんだろう。1のモダニズムの放棄ってどうなんだろうね。「日本人が作り、日本人が聴くことで完結する自給自足ポップスがチェッカーズにおいて完成したのである」なら、なんでその結果歌われるのが「♪This is the Song for U.S.A」になるのかまで書いてくれれば、膝を打ったかもしれない。

追記:読書メモ完結。全十三回。以下目次

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スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ4 『不良少年』から『HEART OF RAINBOW』


チェッカーズの音楽とその時代
の読書メモ第4回。
前回。
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『あの娘とスキャンダル』の次は『俺たちのロカビリーナイト』。スージーさんの曰く「とても地味な印象の一曲」。この頃(85年夏)は阪神が躍進していて「チェッカーズよりタイガース」だったと書いてあり、「あー、そういえば」とか思った。しかし、と話は展開する。

それから30数年の時が過ぎた今、この曲の歌詞をしげしげと眺めると、また新たな発見がある。一言で言えば「無国籍オールディーズの完成形」。

で、普段歌詞カードなんか見ないで音だけ聴いているおれとしては次のくだりにちょっと噴いた。

驚くべきことに歌詞カードでは「不良少年」と書いて「ロカビリー」と読ませている。これは「本気」と書いて「マジ」と読ませるよりも、相当に無理やりだと思うのだが、不良少年の物語と設定することで、チェッカーズの魅力の源である「久留米のヤンキー性」が表出する。

 後半部分についてはそういう見方もある(結構スージーさんの曲評価に顔を出す「ヤンキー性」なんだけど、おれはあんまりポイントと思えないんだよね)くらいなんだが、この前半には笑ってしまった。「♪あの頃はみんなロッカビリーと呼ばれ、てたね」みたいに聞こえてて、ロカビリーって人間? とは思っていたんだけど、不良少年のルビだったとは(知ってたはずなんだけど、忘れてた)。
 思わず、『当て字・当て読み漢字表現辞典』(amazon)を引っ張りだして引いてみた。あった。辞典すげえ。さらにそれで思い出したおれが記憶する限りチェッカーズの歌詞で最大に無茶なルビだと思った「連弾ぶ」(←一発で読めますか?)も引いたら、そっちも載ってた。この辞典やりおる。その項目の横にもまだロカビリーナイト出てきて三度驚いた。

【絶叫(さけ)ぶ】(歌詞)涙ロカビリー好きだと絶叫(さけ)び〔チェッカーズ「俺たちのロカビリーナイト」(売野雅勇)1985〕
【連弾(さけ)ぶ】(歌詞)ロックン・ロールのピアノが連弾(さけ)ぶよ せつないねと〔チェッカーズ「OH!! POPSTAR」(売野雅勇)1986〕

 それはともかく、スージーさんは最終的に「当時この曲を意識的に遠ざけたことを、今となって少し後悔する」と仰有るのだけど、おれはこれ、いつ聴いても「マジか、これが一位取ったのか」って思っちゃうんだよねえ。いや、流れのなかで出て来るぶんにはいいんだけどさ、『今夜の涙は最高』とかと一緒で、これだけが入ったレコード買う気になるか? くらいに思うんだわ。7×10に入っていたライブの映像は好きだけど。
 もう一個、意外な発見があったのは補論ってところ。

85年8月12日、チェッカーズ西武球場(当時)でコンサートを開催。その様子を収めたDVDが『THE CHECKERS CHRONICLE 1985 Ⅰ Typhoon' TOUR』。この日に起きた大惨事が日航機墜落事故。いくつかの情報を総合すると、墜落寸前の飛行機は、西武球場の近くを飛行していると見られている。

DVDはこれ。

 さーて次は『HEART of RAINBOW』12インチシングル作品。よくわかんねえけど、マキシシングルみたいなもんか?(読んでる人若かったらマキシシングルって単語ももしかして死語?)尾崎豊の『卒業』も12インチシングルだったんだって。曲の特徴は「フミヤのボーカルがシングルトラックなのである」。シングルトラックってなあに? という疑問のある方、『チェッカーズの音楽とその時代』を読みましょう。技術的な話も書いてあるけど、個人的に面白かったのは、

そして当時は、グリコ・アーモンドチョコレートのCMソングとして聴いて「可愛い曲だなぁ」と思い、「サザンオールスターズのニューアルバム『KAMAKURA』のついでとして買っておこうか」くらいの意識だった。

グリコ・アーモンドチョコレートのCMは、今でも動画サイトで見ることができる。メンバーのつくしん坊のような髪型が異常に可愛い。

 ここを読んだ人のどれくらいが立ち止まったかはわからないんだけど、思いだしてほしい。読書メモ第2回の『ギザギザハート』のコメント部分、

「ハードロック少年」としては、「可愛い」と同調するのは、さすがに、色んな意味ではばかられる。

 ハードロック少年は二年足らず(発売日-発売日なら丸2年だけど、同級生からの口コミ来るまでのタイムラグ考えれば2年足らずである)でチェッカーズのまえに陥落していたのだ。「可愛い」からシングル買っちゃうまでに。チェッカーズすげえわあ。

 それはさておき、実はこの曲のレビューが本書通していちばん不満だったりする。意見が合わないとかいう以前の問題で不満だったりする。ちょっとウィキペディアの『HEART of RAINBOW』の項目を見てほしい。

「HEART OF RAINBOW ~愛の虹を渡って~/ブルー・パシフィック」(ハート オブ レインボウ ~あいのにじをわたって~/ブルー・パシフィック)は、1985年9月21日にリリースされたチェッカーズの8枚目のシングル(12インチシングル)。

解説
両A面シングル扱いで、「HEART OF RAINBOW ~愛の虹を渡って~」はグリコアーモンドチョコレートのCMソング、「ブルー・パシフィック」はTDKカセットテープのCMソングであった。
企画シングルとして発売された為、ランキング番組などで披露される事はなかった。

 両A面なのに、なんで『ブルー・パシフィック』無視すんのさあ。むっちゃ格好いい曲じゃんよー。

追記:読書メモ完結。全十三回。以下目次

スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ1 タイトルのメッセージを妄想してみた - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ2 『ギザギザ』から『星屑』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ3 『ジュリア』と『スキャンダル』あるいは「キラキラ」と「チャラチャラ」 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ4 『不良少年』から『HEART OF RAINBOW』 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ5『神様ヘルプ!』から第1期まとめまで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ6 NANA I Love you, SAYONARA - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ7『WANDERER』から『ONE NIGHT GIGOLO』(あるいはみなさんのおかげです)まで。 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ8『Jim & Janeの伝説』から『Room』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ9 『Cherie』と『Friends and Dream』 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ10 『運命』から『夜明けのブレス』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ11 『さよならをもう一度』と『Love'91』 - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ12 『ミセスマーメイド』から『今夜の涙は最高』まで - U´Å`U
スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ13最終回 - U´Å`U

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スージー鈴木『チェッカーズの音楽とその時代』読書メモ3 『ジュリア』と『スキャンダル』あるいは「キラキラ」と「チャラチャラ」


チェッカーズの音楽とその時代
の読書メモ第3回。
前回
gkmond.hatenadiary.jp


さてさて、今日はジュリアに傷心から。

シングル売上枚数だけで言えば、この曲こそがチェッカーズのピークである。また1984年の暮れに発売されながら、翌1985年を席巻し、その年の年間ランキングの1位に輝く。

 ってことで、文句なしの名曲と個人的には思っているのだけど、前曲を上げて解説曲を落とすがパターンのスージーさん、今回はどうか。

ここではヤンキー性も見事に復活。「東京のビジネス性」と「久留米のヤンキー性」が両立している。

 褒めてた。そして「チェッカーズリズムセクション=ドラムスとベースのバンドだと思う」と言い、「特にこの曲では、そのリズムセクションが映えている。イントロ冒頭のドラムスの連打と、曲中を跳ねて駆け回るベースの『日本全国の小中高の女の子の胸をかきむしらせる感じ』はどうだろう。ぜひ改めて、注目して聴いていただきたいものだ」

 で、歌詞のパンチラインとして注目しているのが「♪俺たち都会で大事な何かを失くしちまったね」と「夢の他に何もない部屋」の二つを挙げている。確かに確かにと思った。わたくしも幼いみぎり、「俺たち都会で~」はなんとなく口ずさんでいましたよ。住んでたの、どっちかって言えば田舎だったけど。記憶だと売上82万枚って言っていた気がするんだけど、本書のデータは70万枚。色んなカウントがあるようだ。でもって、ここが売上的にピークというのも実感としてわかる。ここまでの五曲は全部流行り歌として、その辺の子が口ずさんでいるのを聞いたのだけど、これ以後、チェッカーズの曲は当時のおれの耳に入るところ(つまり芸能人とか歌番組に興味のない小学生)までヒットしなくなった。85年のあいだに社会現象としてのチェッカーズは終わったんじゃないかなあ。いや、こんな条件の小学生がデビュー曲から五曲目まで全部知ってたってのが驚きなんだけどね。実際、のちに二枚組のベスト(これ)を買って再生したら、次から次へと聞いた覚えのある曲かかって「げ、これも、これもチェッカーズなのか?」って腰を抜かしたし。最初の売れ方が尋常じゃなかったんだと思う。何があったんだろうね。

 ついでに思い出したんだけども、チェッカーズという単語と遭遇したのはたぶんこのあたり、あれやこれやの歌を歌っている人たちという認識はなく、何者かも知らなかったが名前だけ。どっから入ってきたかと言えば、週刊少年ジャンプ。『ハイスクール奇面組』という漫画があって、そこにたしかシブがき隊がチラっと出て(テレビ画面のなかか何かで)、でその場面にチェッカーズの名前があったような気がする。もしかすると絵もあったかもしれない。

 それはさておき、スージーさん的には、85年が「日本全国のチェッカーズへ」化けた年という見え方だったらしい。そして『あの娘とスキャンダル』の感想は

この曲を初めて聴いたとき、「向こう側に行ってしまったな」という感じがしたものだ。

 繰り返して悪いけど、むっちゃ好きだよね、チェッカーズ。で、あの娘とスキャンダルは「何となく軽薄だし、何よりも『久留米のヤンキー性』が(また)封印されている」と不満げだ。

《ジュリアに傷心》がキラキラしているとすれば、こちらはチャラチャラしている

もろもろまとめれば、「作品」というより「商品」としてとても優秀な曲という結論になる。

 あー、チャラチャラしてるってのはわかるかも。軽快で楽しい曲だけど。この曲は解散したあと7×10見て初めて聴いた。ライブ映像からだったので、そのあと音源聴いたときに違和感あったなあ。テンポとか違ったような気がする(最近はずっと音源だけなので、すっかり馴れている)フミヤがソロになってからの2000年~2001年カウントダウンの演奏が個人的には好き。すっげえ楽しそうで。「タヌキだっていいじゃない!」は映画のフレーズで、一回挑戦したものの、あまりにもあまりな感じでまったく合わず、フミヤがどっかにさらわれたあたりで再生やめちゃったんだよなあ、そういえば。最後どうなるんだろ、あれ。

追記:読書メモ完結。全十三回。以下目次

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