評論・エッセイ・ノンフィクション

李信恵『#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル』

#鶴橋安寧―アンチ・ヘイト・クロニクル李 信恵 金 明和 影書房 2015-01-16売り上げランキング : 10824Amazonで詳しく見る by G-Toolsasin:4877144536 ツイッターで何度も見かけ、読んでみた。 明け方までかかって一気に読了した。 じつは長々しい感想を書き…

橋元淳一郎『時間はどこで生まれるか』

時間はどこで生まれるのか (集英社新書)橋元 淳一郎 集英社 2006-12売り上げランキング : 96148Amazonで詳しく見る by G-Toolsasin:4087203735 タイトルに惹かれて購入したのだと思う(いかんせん、いつ買ったのかさえ覚えてなかったもので、推測するしかな…

ヘイトスピーチと排外主義に荷担しない出版関係者の会 『NOヘイト! 出版の製造者責任を考える』

NOヘイト! 出版の製造者責任を考える加藤直樹 明戸隆浩 神原元 ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会 ころから 2014-10-30売り上げランキング : 6929Amazonで詳しく見る by G-Toolsasin:4907239106 ツイッターで紹介を見かけて、少なくともそ…

平林美紀・三井明子『マイペースのススメェー』

マイペースのススメェー写真:平林 美紀 文:三井 明子 パイインターナショナル 2014-12-10売り上げランキング : 25552Amazonで詳しく見る by G-Toolsasin:4756246095 本屋で一目惚れして買って読んだ。羊写真とキャプションの本。羊はどれも可愛かった。キャ…

ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフのロシア文学講義』

ナボコフのロシア文学講義 上 (河出文庫)ウラジーミル・ナボコフ 小笠原 豊樹 河出書房新社 2013-07-05売り上げランキング : 265550Amazonで詳しく見る by G-Toolsasin:4309463878 取りあげられているのは、ゴーゴリ、ツルゲーネフ、ドストエフスキー。ナボ…

増井元『辞書の仕事』

辞書の仕事 (岩波新書)増井 元 岩波書店 2013-10-19売り上げランキング : 1444Amazonで詳しく見る by G-Tools 新聞広告で書名見て買いに行った。著者は『広辞苑』と『岩波国語辞典』の編集に関わっていた人。短いエッセイ集みたいなものだけど、これがなかな…

ケヴィン・ダットン 小林由香利訳『サイコパス 秘められた能力』

サイコパス 秘められた能力ケヴィン・ダットン 小林 由香利 NHK出版 2013-04-23売り上げランキング : 58390Amazonで詳しく見る by G-Toolsasin:4140816023 非常に興味深い話が目白押しの一冊だったが、どうまとめればいいのかよくわからないので、著者自身が…

鈴木智子訳『100年前のニューヨーク』

いま20世紀初頭ってか、1910年代のニューヨークを舞台にした短編集を読んでいる関係で、当時の資料がほしいなあと思っていたところで本書を発見し、タイトルだけで買ってみた。著者名の見当たらない不思議な本で、各ページに当時の風景写真が紹介文付きで掲…

岡田尊司『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)岡田 尊司 光文社 2011-09-16売り上げランキング : 763Amazonで詳しく見る by G-Tools 昔、高橋源一郎が「読んでいて色々なことを連想するのがいい本だ(大意)」と言うようなことをどこかで書いていたように…

蓮見あつき『Kindle自己出版』

キンドル・ストアのオープン以来、ちょっと気になっているKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)。以前内容をなんとなく見ていたら、七面倒くさそうに思えたのがアメリカのIRSへの申請だった。それをしないと向こうでも源泉徴収されるらしいのだが、…

平山譲『魂の箱』

読書メーター見ても、文庫本は俺しか読了登録してないので、こっちでも感想をあげてみる。こういう本は読まれるべきだ。すくなくともボクシングファンくらいには。 本書は、元世界ジュニア・フェザー級チャンピオン畑中清詞、それから引退後彼が立ち上げた畑…

のぞき見トムとハットトリック項目集

「のぞき見トムとハットトリック」は発売と同時に買って、調べ物に使おうと思っていたのに、これまでほとんど活躍させる機会がなかった。 理由は明らかで収録項目の一覧がないためだった。ということで立項されている全慣用句の一覧を作成してみた。ほとんど…

シオラン 金井祐訳 カイエ 1957‐1972

ここんとこ、諸事情からシオラン(ウィキペディア)の著作に随分目を通していた(読んだというのは憚られる感じだが)。『思想の黄昏』、『実存の誘惑』、『時間への失墜』、『悪しき造物主』、『生誕の災厄』、そして本書。なんでも「バルカンのパスカル」…

伊藤正己 憲法入門第四版補訂版

いきなり追記:追記場所をどこにするか考えた結果、先頭にしてみた。この記事には次のようなご指摘が入っている。 http://h.hatena.ne.jp/seijigakuto/9234087845162037893 1. >>さらに言うと、公共の福祉の前では個人の自由は制限されるべきという考えに…

山岸俊男『安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方』

あっちこっちで取りあげられていた本。「日本人よりアメリカ人の方が他人を信頼する」「日本人はアメリカ人より個人主義」って部分の紹介をよく見た気がしたのだが、ブクマし忘れたせいで記事に辿り着けなかった。 本書は1999年に発行されたもの。内容紹介は…

佐久間治『ウソのようなホントの英文法』

ウソのようなホントの英文法佐久間 治研究社 2009-02-25売り上げランキング : 9572おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools 以前読んだ「英文法のカラクリがわかる(amazon)」が面白かったので読んでみた。全部で四章に分かれていてそれぞれ「第1章 学…

ティル・バスティアン 石田勇治・星乃治彦・芝野由和 編訳 アウシュヴィッツと〈アウシュヴィッツの嘘〉

以下のエントリで存在を知った本。 ・ホロコーストの基礎知識について - Danas je lep dan. 俺のようなド素人には非常に有益なホロコースト否定論に対するまとめ。紹介してくれたid:Mukkeさんには感謝したい。もともとは1995年のマルコ・ポーロ事件がきっか…

ななころびやおき『ブエノス・ディアス・ニッポン』

数ヶ月前、国籍法の話について調べているときに、この記事を見つけた。 ・○○○!知恵袋 国籍法は改悪なんでしょうか?←ブログは現在はてなに移行、非公開で運用中。 俺は国籍法の話(例の外国人が押し寄せて、日本が乗っ取られるって奴)を聞いたとき、いくら…

トルーマン・カポーティ佐々田雅子訳『冷血』

『なんだって泣き続けてるんだよ? 誰もあんたをいたぶったりしてねえのに』 超有名作品。「The Suspicions of MR Whicher(感想)」を読んでいるときにふと、「そういえばこれと冷血は似てるのかなあ」と思い、手を出してみた。 原書の発表は1965年。解説に…

まこと学ぶ英語の本制作委員会『まこと学ぶ英語の本』

まこという名の不思議顔の猫関連本。今回はまこたちと一緒に英語を勉強してみましょうという主旨。リンク先ではアフィリエイトの収益をボランティアに寄付することをうたっているので、どうせ買うならと飼い主のサイトから購入。「肉球」を英語でなんと言う…

Kate Summerscale The Suspicions of MR Whicher: or the Murder at Road Hill House

2008年The CWA Gold Dagger for Non-Fiction部門最終候補。SAMUEL JOHNSON PRIZE 2008受賞作品。 1860年、イギリス南部ウィルトシャーの村、ロードで殺人事件が起きた。被害者はフランシス・サヴィール・ケント三歳。本書はその事件の顛末をドキュメント風に…

W.リップマン  掛川 トミ子  世論(下)

上巻(感想)をむさぼり読み、そのまま下巻へ突入*1。シンボルと化した言葉がどれほど多様な意見をまとめあげてしまうかというようなことの分析から始まり、当時のアメリカの議会政治の欠点と対策などを述べていく。その過程で新聞の果たす役割などへの言及…

井筒俊彦 イスラーム文化—その根柢にあるもの

1981年に行われた三回の連続講演に基づいて書かれたイスラム文化入門書。コーラン、ハディース、スンニー派、シーア派、スーフィズムなどのキー・ワードの解説を丁寧にしてくれる。 実は6年か7年前に一度読んでいるらしいのだけれども、まったく内容が飛んで…

加藤博 「イスラムvs.西欧」の近代

昨年末のガザの件を見て、そういやパレスチナ問題ってまったく知らないやと思い、何冊か買い込んだうちの一冊。中心に取りあげられているのは、エジプト。ナポレオンの遠征によって西欧とぶつかることになったエジプトは、いかに西欧と向かい合い、何がどう…

W.リップマン 掛川トミ子 訳 世論(上)

1922年刊。amazonのレビューで、「おそらく原文を読んでいるアメリカ人読者よりも、日本語の訳文を読んでいる日本人読者の方がはるかによく理解しているのではないかと思います。」と書かれているのを見て、読んでみようと思った。社会分析の本。著者はは「…

ホルクハイマー /アドルノ 徳永 恂 訳 啓蒙の弁証法

1939年から1944年にかけて書かれた本。原書の出版は1947年。「西洋文明の根本的自己批判として名高い」んだそうな。著者のふたりはともにユダヤ系ドイツ人で、30年代にアメリカに亡命。本書もアメリカで書かれたもの。 解説によれば本書のモチーフは、 さし…

鈴木光太郎『オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険』

オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険鈴木 光太郎新曜社 2008-10-03売り上げランキング : 913おすすめ平均 Amazonで詳しく見るasin:478851124X by G-Tools 文化人類学者のドナルド・ブラウンは否定されているのに既成事実として何度もよみがえ…

金水敏 ヴァーチャル日本語役割語の謎

本書は特定のキャラクターと結びついた、特徴ある言葉づかいを「役割語」と呼び、分析している。具体的には「博士語」「田舎ことば」「関西弁」「武家ことば」「書生ことば」「お嬢様語」「女性語」「アルヨことば」などを取りあげて、その成立の起源を探っ…

ダミアン・トンプソン 矢沢聖子 訳『すすんでダマされる人たち ネットに潜むカウンターナレッジの危険な罠』

カウンター・ナレッジ(デマ)の危険性に警鐘を鳴らす本。 疑似科学や疑似歴史学を鵜呑みにするのは変人だけだと思われがちだ。陰謀論のようなこじつけに引っかかるはずがないと、たいていの人は思っている。だが、現実問題として、いまほど誰もがそうなる危…

玉野和志 創価学会の研究

第一パラグラフ、うちの家族と学会員の関わりに関するエピソードを枕にしたが、無駄なトラブルを呼ばないようにするために削除。 創価学会について、俺個人は予備校時代にひとり、大学時代にたぶん2、3人、学会員の知り合いがいたが、ひとりどうしようもな…